講師:竹中平蔵

2008年5月22日 (木)

文部省の廃止、東大の民営化の意義

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その28
―質疑応答―

ロバート・フェルドマン3岸博幸: 教育に関して、フェルドマンさんも一言あるようですので。

ロバート・フェルドマン: 冨山の話、全くその通りだと思いますけれど、簡単に私は2つの提案があります。

1つは文部科学省の廃止です(笑)。いや、これは真面目な議論です。なぜかといいますと、やはり競争していないからです。組織のために教育をやっていて、学生のためにやっていない。これは廃止すべきです。大きな失敗をしたわけだからつぶれるべきです。

もう1つは40歳定年制度を導入すべきだと思います。40歳になったときに、契約更新はしてもいいけれども、義務はない。そうすると30歳のときにすべての労働をしている方々が、自分がどうなるかということを心配して、自分を教育するということになると思います。文部科学省の廃止と40歳定年の導入、その2つの提案をしたいと思います。

岸博幸: 竹中先生も一言あるようです。

竹中平蔵: 今、文部科学省の廃止というふうにフェルドマンさんが言って、皆さん笑ったわけですけれど、私は笑いごとではないと思います。私が同じような観点で言っているのは、東大の民営化をやろうじゃないかと。

世界のトップ100の中に日本の大学は……

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2008年5月20日 (火)

政策の責任の在りか、民主主義の政治プロセスについて

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その26
―質疑応答―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 岸博幸: それでは、これからフロアの皆さまの質問を受けさせていただきたいと思います。

観衆A: いろいろな法改定をするときに、誰の責任かなというのをいつも思うのです。それは3つ考えられ、まずは何かが起きると「政府が悪い」とかいう国民自体のせい。もう1つは、そういうのを煽って視聴率が稼げればいいマスコミ。そういうのにビビる政府。その3つのバランスで、どこに一番問題があるのかなと。竹中先生にお願いします。

竹中平蔵: まず基本的には、日本の社会全体を通してですけれども、問題を分析するときに、弱者と強者に分けるということが必ずあると思います。弱者と称される人、多重債務者がかわいそう、地方の人は弱者である、そういう理由。そこがすべての価値観を決めているというのは、1つの根底的な問題としてあるんだと思います。これは……

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2008年5月15日 (木)

「政府は決定しそうな顔して何もしなかった」

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その23
―第3部「政策不況」―

竹中平蔵: 1つを選ぶのは難しいんですけれど、私は公約違反について誰も責任を問わなくなったというのが、一番腹立たしいというか、危険な兆候だと思います。皆さんお忘れでしょうか。2006年度に「名目2%成長を達成する」というのは公約だったんです。しかし、2006年度達成されなくて、2007年度も達成されないのです。

こういうことの中で、当然のことながら「なぜ達成されなかったんだろう、どこが悪いんだろう、責任をとる人がいるのか」というのを議論するのが当たり前なのに、誰も議論をしない。これは政府の中でももちろん議論しませんけれど、国会でも議論されていないし、マスコミも議論をしていない。こういうことを積み重ねていくと、もう改革のタガがどんどんどんどん緩んでいきます。

公約、約束したことは守りましょう。何の政策を議論するときも、私はこれが基本だと思います。

加藤寛: 私が一番腹が立つのは、決定しそうな顔をしながら何もしなかったということですね。これは本当にね、何を考えているのかわからない。福田さんという人は……

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2008年5月13日 (火)

現実を直視しよう、正論で議論しよう

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その21
―第2部「日本は変われるのか」―

加藤寛: 今、伺っていて思ったことは、官と民が手をつないでグルになっているんですよね、そこがね、あるんだから、いくら民がコンプライアンスを高めてやってみても、結局そのコンプライアンスのルールは全部官僚から回ってくるわけですよ。そういうものに乗っかってやっている以上は駄目なので、官というのを、どうすれば民間と同じようにできるかということが重要ですよね。

1つは会計原則をきちんとつくろうと。もう1つは、官僚には失業保険がない、だから失業したからといってハローワークは使わないのですけれど、失業保険をちゃんとつくって、みんなそこへ行けばいいわけです。朝から並んで自分の職を探すために、どんなに民間が苦労しているかということを味わえばいいんですよ。そうすれば、官僚というのが変わっていくんですね。

それをやらないものだから、官僚というものが……

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2008年5月 1日 (木)

格差の本質は、人材・生産性・競争力の差

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その18
―第2部「日本は変われるのか」―

竹中平蔵: 皆さん、大変刺激的な議論をありがとうございました。自由に話してくれといったら、本当に勝手にいろいろなことを話され(笑)、これはえらいことになってきたなというふうに思うのですが。

野村先生は、まさに「政策の正論を議論しないことが弊害」という議論をされました。冨山さんは「人的資源の危機である」ということを強調されました。加藤先生は「官依存の体質が民にもあるということも含めて、官依存の体質の問題意識」を福沢諭吉を例にとってお話になりました。松原先生は3つの視点、「目標・中長期の戦略・総合的ということを踏まえて、やはり頑張るべきところは頑張らなければいけない」という話をされました。木村さんは、CRICサイクルのフェルドマンさんの意味づけ、解釈をさらに深めた上で、「歪んだ実態、歪んだルールそのものを、この国の中の議論の仕方そのものに根本的な危機感を持つ」という話をされたんだと思います。

これらの論点について、チャレンジするところがあれば言っていただきたいのと、もう1つ、格差の問題と地方の再生の問題というのは、政治つまり永田町とマスコミは大好きなんですけれど、この問題に対して、政策的な観点から言うべきことがある方もいらっしゃると思います。今の点を踏まえて、手短に自由にご議論をいただきたいと思います。……

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2008年4月18日 (金)

努力し続けられる力は、どこから来るのか

「ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~」その13

竹中平蔵_福原義春竹中平蔵: もう1つ、ぜひ福原さんに聞いてみたいことがあります。今、私は『勉強法』という本を書いています。どんなふうにしたら自分自身を高められるかということについて、私のささやかな経験から得たエッセンスをお伝えしていこうと思っているのですが、結局突き詰めれば、「努力することを続ける力があるかどうか」というところに帰着するんです。

実はミケランジェロが、それと同じような言葉を残しています。「天才というのは努力を続ける力があるかどうかである」というような趣旨の言葉です。それからこの前、テレビでイチローと松井の対談を見ていたら、同じようなことを2人とも言っていました。もちろんこの2人には持って生まれた才能があるわけですが、結局努力をし続けることができる力、これが、いろいろな意味で最後のパワーを決めているような気がするのです。

福原さんが本(『ぼくの複線人生』)に書かれているように、1つのことからこれだけたくさんのことを学び続けることができるということ。そして福原さんがおっしゃった「生きている間、学んでいるんだ」という言葉。これには非常に通じるものがあるのですが、努力をし続けられる力というのは、どういうところから来るのかなと。……

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2008年4月15日 (火)

官僚がつくり出す“大きな政府”政策

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その12
―第2部「日本は変われるのか」―

野村修也 竹中平蔵: 今の枠組みの中でということになると思いますけれど、日本の現状評価と問題点の指摘という観点から、手短に問題の提起をしていただければありがたいと思います。野村先生からお願いします。

野村修也: 今、フェルドマンさんの方からお話がありましたけれど、やはり反応というのが、今一番大事な状況にあるんだというふうに思うのですが、ただ、政治の話のほかに、やはり官僚の方々が非常にメインのプレイヤーになっているというのが現状だと思います。

彼らの反応の仕方なんですけれども、やはりそこにバイアスがかかっているというのが問題ではないかと考えています。と言いますのは、小さな政府か大きな政府かということを選択するということになるわけですが、官僚の方々にとってみますと、自分たちの存在意義を維持するためには大きな政府がいいということに当然なるわけです。

そこで今出てきている政策は何かといいますと……

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2008年4月14日 (月)

人間はマルチタスク。2つ3つのことは、同時処理できる

「ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~」その12

竹中平蔵_福原義春 福原義春: 一度に3つも4つものことをやっていたら頭がおかしくなるんじゃないか、みんな中途半端になるんじゃないかとよく言われます。けれど、どうも人間の情報処理能力というのは、はるかに私たちが考えているより大きいようで、同じ時間に2つか3つのことは処理可能のようです。

日銀の政策委員をやられていた両角良彦さんという方が、ナポレオンの本を何冊も書いておられます。この方だって、日銀にいて仕事をしているときには、ナポレオンのことは絶対に考えてない、という保証はないんでね(笑)。けれど、日銀の仕事を怠けられていたことも絶対ないんですね。

このように考えていくと、同じような時間にいくつかのことを同時にできるということが、おわかりいただけるのではないでしょうか。これは鍛錬だと思うのです。それから、時間の使い方、むだな時間を使わないようにしようというのもあると思います。

森鴎外がだんだん忙しくなってきて、小説を書く時間がなくなってしまった。普段は軍務が忙しい。そうすると小説を書くために……

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2008年4月 7日 (月)

成長率と改革速度の関係から日本経済を読む

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その10
―第2部「日本は変われるのか」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 竹中平蔵: 第1部はマクロ経済に焦点を当てたわけですが、ここから構造改革、日本をどうしていくかという観点から、自由に幅広く議論をしていただきたいと思います。この壇上に乗っておられるのは先ほどと同じ、私の方から見て、フェルドマンさん、そして中央大学の野村先生、元の産業再生機構のCEOの冨山和彦先生、よくご存知の加藤寛先生、以上、ポリシーウォッチのメンバーですが、きょうは特別参加でさらにお2人をお招きしております。

その隣は、松原聡東洋大学教授でいらっしゃいます。松原さんは、民営化された日本郵政の社外取締役として、大変改革に辣腕を振るわれているというのと、総務省の放送・通信の融合の、まさに松原委員会の座長を務められてきたわけであります。そして、これまたご承知の木村剛さんでいらっしゃいます。木村さんは、まさに不良債権処理のときの立役者で、私たちの不良債権チームの中心的なメンバーであらせられました。

それでは早速始めたいと思いますけれど、日本の現状、最初にフェルドマンさんから、簡単に問題の提起をしていただいて、そして議論に入っていきたいと思います。フェルドマンさん、お願いします。

ロバート・フェルドマン: 問題提起という点ですが、まずどういうふうにこの問題を分析するかということに関して、簡単に私がここ10年ぐらい使っているやり方を紹介したいと思います。

これはCRICサイクルというものです。CRICというのは……

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「ワークライフバランス」は、会社と自分のために何かすることのバランス
「ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~」その11

竹中平蔵_福原義春竹中平蔵: 「ハイフニスト」というのは、すばらしい言葉ですね。私もそうありたいと思いますし、皆さんも例えば企業経営者-(ハイフン)何とかである、そういう人生であらねばならないと改めて思ったのではないでしょうか。実は、非常に若いときに私もそう感じたことがあります。

私が経済学者になったのは、日本の高度成長の設計者になられた下村治さん――池田勇人の所得倍増計画の理論的な支柱であった下村治さんに憧れたからです。その下村治さんのライバルに、吉野俊彦さんという日銀のエコノミストがいました。

この吉野さんの本に、結構おもしろいことが書かれてありました。吉野さんというのは、下村さんに匹敵する当代一流のエコノミストであったと同時に、その当時の森鴎外研究者の第一人者だったんです。こんな人がいるのかと思って……

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2008年4月 4日 (金)

私たちは知っているようで何も知らない

「ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~」その10

竹中平蔵_福原義春竹中平蔵: 大変すばらしいお話をいただきました。福原会長のお話に、「私もこんなふうに生きたい、生きてみたい」と、多くの方が素直に思われたと思います。本当に一つひとつのお話に、はたと膝を打つところがありました。私の人生経験などとても足元には及びませんが、それでも「ああ、本当にそうだよな」という思いでしたし、皆さんもそう聞かれただろうと思います。

最後の方で福原会長がちょっと触れてくださいましたが、私が福原会長に最初にお目にかかったのはいつだったかなと考えてみると、私が総務大臣をやっていたときのことでした。九州で道州制のタウンミーティングをやることになって、経済界からどなたかお越しいただいて、こういう話をしてもらえるのは誰だろうと挙がったのが、福原会長のお名前でした。

福原さんは文化経済人であって、「いやあ、福原さんが道州制の話をしてくれるのか、何か1つのことがわかる人は、何でもわかるんだね」とその場にいた代議士に言った記憶があります。

さて、ご著書『ぼくの複線人生』を読まれて、皆さんそれぞれに関心を持たれた部分があったかと思いますが、全体を通して一言私の感想を述べさせていただくと……

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2008年3月17日 (月)

正論を吐く人がいなくなったという危機感

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その5
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

岸博幸 では、竹中先生。特に竹中先生は、よくメディアが「財政再建派」「成長派」といったステレオタイプな分け方をした場合、ある種、その筆頭に位置づけられているのですが、この試算についてのコメントをお願いします。

竹中平蔵 竹中平蔵: 皆さん、経済成長とか社会保障とか何%削減とかというと、非常に技術的に難しくて、なかなか頭の中でわかったような、わからないような感覚になるんだと思うのです。私たちが言いたいことは、要は次の2点なんです。

まず何のためにこういう試算を、あえてお正月早々出したかというと、2つの意味で、非常に危機感を持っているということです。この国の経済の、例えば2007年度の名目の成長率が何%になりそうかはご存知ですよね。政府が実績見込みというのを2007年度に出したのが、何と……

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2008年3月14日 (金)

日本を、東京を変えるには根元的な議論が必要

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その16

米倉誠一郎米倉誠一郎: 先程の格差論に戻りますが、以前、竹中研究会で「消費税はイギリスは19%だから、日本も消費税は10%ぐらいいくんだろうな」という話が出ました。

消費税はお金持ちも貧しい人も一律にかかるから、貧しい人には不利になる。そうしたら「例えば、年収200万円以下の人には、年末に消費税分の20万円を還付してしまえばいい」という意見が出ました。これは素晴らしくシンプルで、いいアイディアだと僕は思います。

低所得者は消費税がゼロになる。その代わり……

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2008年3月11日 (火)

自由な発想や発展を阻むのは、日本の古い法風土

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その15

米倉誠一郎_隈研吾_竹中平蔵

竹中平蔵: 今のお話と部分的に関連すると思うのですが、例えば、日本では私有財産に対する権利がかなり強く保護されています。

私は千葉県の別荘地に小さな別荘を持っていますが、建築協定はすごく控えめ。建築協定で屋根の色と外壁の色ぐらい統一すれば、もっと綺麗な街になるのにと思うのですが、「私有財産を尊重する」という建前で建築協定はそこまで踏み込まない。アメリカの住宅地や別荘地だったら違うだろうな、と思うんですね。

隈さんがおっしゃった容積率や建ぺい率についても、基本的には同じ考えなわけで、行政は私有財産に関して妙に自制的なんです。さらに突き詰めれば……

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2008年3月 5日 (水)

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「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その1

岸博幸 岸博幸 実 は今日のメンバーは皆さん、講演依頼が殺到している方ばかりでして、みんなにもし、ちゃんとお金を払って講演してもらったら、大体いくらになるかなとさっ きちょっと計算したら、多分1,000万円を超えると思うのです(笑)。それを今回、皆さん無料で引き受けてくださっていまして、非常にそういう意味では ありがたく思っております。

最初に、ポリシーウォッチを代表しまして、慶応大学教授の竹中平蔵先生から、皆さんにご挨拶をしていただきます。

竹中平蔵 皆 さん、新年、明けましておめでとうございます。大変天気もいい中で健やかなお正月を過ごされたことと思いますが、ご承知のように(2008年)1月4日の 今日、株式相場は600円を超える大幅な値下げで始まりました。今の日本がおかれている経済、政治もろもろの状況を象徴しているような今年の始まりであろ うかと思います。

1年少し前に私たちは「ポリシーウォッチ」を立ち上げました。本当に政策のことを専門的に真面目にしっかりと議論しよう、政府の中で何年か過ごした経験として、民間が政策のことをしっかり見ないと、やはり政策は絶対によくなりません。

今の政策、いろいろ問題があると思いますけれど……

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2008年3月 4日 (火)

人的交流のゲートウェイを目指すなら、東大の民営化を

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その13

米倉誠一郎: 日本の高等教育機関については僕も言いたい。スタンフォード大学のフーバータワーの広場に立っていると肌で感じますよ。『ここには、世界中から「俺は何かやりたい」という人間が集まっているんだな』と。三四郎池に座っていても寒いだけ(笑)。なぜかというと、世界を相手にしてないからなんです。

隈研吾: 残念ながら、デザインや建築を勉強するために日本の大学に留学する人はいない。でも、「日本の設計事務所で働きたい」という人間はいっぱいいるんですよ。日本の建築家は世界で高く評価されているから、「そこで働きたい、技を磨きたい」という人間はいっぱいいる。

アメリカの建築は今は全然駄目なんです。国家の知恵が映像とかITに流れてしまって、アメリカの建築文化自体はガクンと落ちちゃっている。けれど、建築の大学だけは健在。それはアジアから先生を……

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2008年2月29日 (金)

知的リソースが集積し、交流し、結合する都市へ

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その12

竹中平蔵 竹中平蔵: 今日のテーマに戻しますが、外国に住んでいる私の友人でも「東京に行きたい。東京はいい」と言う人がたくさんいます。その度に「どこがいいの」と思わず聞くんですが、「食事がおいしい」とか、「都市施設がどんどん良くなっている」とか、「歌舞伎や相撲のような独自の文化を持っている」という答えが返ってきます。それは全部正しいと思います。

そうしたいいところをもっとモービライズする(※編注:流通させる)には、今、一体何が必要か。そういう観点から、東京の改革の道筋を幅広く考えていくことが必要だと思います。アカデミーヒルズでもそういうセミナーシリーズをどんどんつくりたいと思っています。

経済の観点から都市の役割と魅力を考えてみますと……

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2008年2月27日 (水)

経済も都市も「どん底」を見せれば、V字回復する

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その11

竹中平蔵 竹中平蔵: 経済も一度どん底までいかないと良くならないんです。これは重要なポイントです。例えば、バブルが崩壊したら国民の生活水準は下がる。生活水準が下がらないほうがおかしいんです。

97年のアジア通貨危機の時は、韓国でもタイでもGDPが10%ぐらい下がりました。しかし、どんと下がったからVシェイプ・リカバリーをした。日本もバブルが崩壊した時に同じことが起こってもおかしくなかったんだけど、公共事業をぶち込んで、国民の生活水準が下がらないように支えました。それでもジワジワ下がってきて、下がりきるのに10年もかかってしまったんです。

米倉誠一郎: レスター・サローというマサチューセッツ工科大学の教授が来日したとき、「バブルはどこでもあるんだ」と言いました。

偉大な科学者のニュートンでさえも、欧州でチューリップのバブルが起こったとき……

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2008年2月26日 (火)

東京の魅力づくりには、歴史をずる賢く使うセンスが必要です

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その10

米倉誠一郎_隈研吾_竹中平蔵

竹中平蔵: 専門家の隈さんに聞いてみたいことがあります。それは、東京にとっての歴史の問題です。私は和歌山の出身。だから、小学校で習った地理は和歌山の地理が中心で、東京の地理ってほとんどわからない。東京の23区、どこに何区があるかと聞かれたら、実は答えられません。

でも、東京をうろうろするようになって、いろいろな歴史があることがわかっておもしろい。しかし、多くの人が東京の歴史を意識していないんですね。

例えば、私が今住んでいる所は中央区ですけれども、聖路加病院の近くの中津藩邸で福沢諭吉が塾を開いていた。その50年前に、全く同じ場所で杉田玄白が解体新書を書いていた。びっくりするわけですよ。こんなエキサイティングなところだったのか、と。しかし、多くの人が東京の歴史を……

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2008年2月22日 (金)

米国の知恵は、寂れた場所をしばらく放っておくこと

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その9

隈研吾隈研吾: アメリカがすごいなと思うのは「駄目になったところをしばらく放っておく」という知恵です。ニューヨークの都市開発が失敗してハーレムになったけど、そのまま放置しておきました。日本は放置しておくことをすごく怖がるけれど……。

これは『都市の護送船団』に書いたことがあるんですが、駄目になったところを放置しておくのにもお金がかかるし、周囲にもいろいろしわ寄せがきます。でも、辛抱していれば、必ず別の波が来るんです。

「ちょっと危なくても、汚くても、住んでみようか」というアーティストとか若者が出てきて、そこに住み始める。それがきっかけになって別の循環が生まれる。新しい地域のキャラクターが生まれてくる。しかし、日本人はできないんですよ、怖くて。

竹中平蔵: 今の話は、最初の「オープンスカイ」の話にもつながりますね。日本の行政は必ず……

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2008年2月20日 (水)

毎年青森県分の人口が減る時代、国土政策、都市政策は決定的に変わる

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その8

米倉誠一郎 米倉誠一郎: 僕もせっかくだからウンチクをひけらかします(笑)。

北山恒さんという横浜国大の先生が言いました。「コミュート(※編注:通勤)するのは、シカゴの大火事でできたコンセプトだ」と。もともとは職住接近だったのを、都心の真ん中にビルを建て、郊外に人を住まわせたのは完全に工業化社会の名残り。猛暑のなかで1時間も通勤したら、もうすべてのエネルギーを吸い取られてしまう。

要するに、知識社会の都市構造はコミュートする構造ではないんです。知識社会は職住接近の都市構造、24時間都市に住むという形がいい。

2030年のビジョンを読み直したら、2010年から2015年の6年間、日本は毎年120万人ずつ人が減るんです。120万人というと青森県の人口に近い。2010年から6年間、日本から青森県が1個ずつ消える……

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2008年2月18日 (月)

毎朝毎晩350万人が通勤する、こんな都市は世界に類がない

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その7

隈研吾 竹中平蔵: 数年前、日経センターが「アジアの都市の競争力比較」をしたんですが、ほとんどの項目で東京が1位です。例えば、一人当たりの所得はもちろん1位、一人当たりの財政規模も1位。ところが1位じゃないものもいくつかあるんです。

1つは、「人材」。定義の仕方でも変わるので、もっと多元的な議論をする必要はあるとは思いますけれども、人口の中に占めるPh.D.保有者、マスター保有者、高等教育機関を受けた人の数とかを総合的に見ると、1位は中国のシンセンで、東京は2位でした。

公務員の比率も意外に高い。北京ほどではないですけれどね。一つは東京が政治的な中枢管理機能を持っているからでしょうが、まだまだ日本は「大きな政府」なのかもしれません。

東京が優れているのは……

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2008年2月14日 (木)

見当違いの格差論が日本や東京の発展を阻む

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その6

米倉誠一郎_隈研吾_竹中平蔵 竹中平蔵: 実は、東京問題はその話ともろに関わってきます。今、私たちは東京のど真ん中でこういう話をしていますけれども、例えば、私の郷里の和歌山では「東京はいいよね。和歌山は大変なんだよ」と、東京と地方の格差論になる。

しかし、東京が上海や北京や香港と戦って勝てるような都市にならなければ、和歌山も秋田も世界にはとてもついていけなくなるんです。そういう点で、私は東京をどのように扱うかが、これからの何年間でもっとも大きな問題になると思います。

私が総務大臣の時に1つやり残したこととして……

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2008年2月12日 (火)

「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その5

竹中平蔵竹中平蔵: 文化の蓄積が高まる時は、いい意味で富が偏在している時です。ナポレオンが権力と富を握って素晴らしいパリをつくった。日本でも非常に富が集積して国家統一がなされた時に、国分寺などが全国につくられた。相撲でも歌舞伎でも、旦那がいて、タニマチがいて支えたわけです。そのシステムを延々と保ってきたから、伝統や文化が保たれてい る。

残念ながら、富に対する社会的許容度が今の日本社会にはあまりない。ばっと出てきてお金を儲けた企業は叩かれる。統計的に見る限り、諸外国と比べると日本は極端な格差社会ではないのに、格差、格差と大騒ぎをしています。お金持ちが自分の力で頑張って高い所得を稼ぎ、たくさん税金を払ってくれるのは歓迎すべきことですよ。金持ちの足を引っ張るような文化はやめましょう。「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」。これは……

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2008年2月 6日 (水)

『失われた10年』より人の気持ちが後退したことが問題

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その3

米倉誠一郎 米倉誠一郎: どうも暗い感じになってきましたね(笑)。「これじゃ駄目だ、東京は寝てるぞ、さっさと起きろ」と喝を入れなきゃなりませんね。

竹中平蔵: いや、ほんとに(笑)。実は、連休連休(2005年のゴールデンウィーク)明けにニューヨーク、ワシントンに1週間行ってきました。久しぶりにニューヨークやワシントン郊外をゆっくり観まして、改めて強烈に思ったことがあります。

日本は本当に「失われた10年」だった。この間に、例えばニューヨーク郊外は……

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アジアと欧米のゲートウェイを目指すには、まず、空港の自由化を

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その1

米倉誠一郎

米倉誠一郎: 経済や行政を縦軸に、建築や美術といった文化を横軸にして、これからの東京を考えてみたいと思います。

さて、今年(2007年)5月10日にスイスの国際経営開発研究所が発表した「世界競争力ランキング」によりますと、日本は昨年の16位から24位にダウンしています。また、森ビルが昨年、アジアのビジネスマン500人に行ったアンケート調査では……

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竹中平蔵プロフィール

竹中平蔵 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授

1951年和歌山県生まれ。 一橋大学経済学部卒業。日本開発銀行、大蔵省財政金融研究所主任研究官、ハーバード大学客員准教授、大阪大学経済学部助教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001 年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。2002年金融担当大臣、2004年郵政民営化担当大臣兼務、2005年総務大臣。この間2004年より参議院議員。2006年小泉内閣の終焉とともに辞職。同年12月アカデミーヒルズ理事長に就任。

現在、慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長も務める。

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