講師:隈研吾

2008年3月14日 (金)

日本を、東京を変えるには根元的な議論が必要

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その16

米倉誠一郎米倉誠一郎: 先程の格差論に戻りますが、以前、竹中研究会で「消費税はイギリスは19%だから、日本も消費税は10%ぐらいいくんだろうな」という話が出ました。

消費税はお金持ちも貧しい人も一律にかかるから、貧しい人には不利になる。そうしたら「例えば、年収200万円以下の人には、年末に消費税分の20万円を還付してしまえばいい」という意見が出ました。これは素晴らしくシンプルで、いいアイディアだと僕は思います。

低所得者は消費税がゼロになる。その代わり……

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2008年3月 7日 (金)

計画性より偶発的な集積や創発性が都市を変えていく?

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その14

米倉誠一郎米倉誠一郎: 僕もそう思います。フレデリック・ターマンというたった一人の学部長がスタンフォードをつくり、シリコンバレーをつくったと言われているんですね。

六本木ヒルズだって「国がつくれ」と言ったわけじゃない。東京ミッドタウンもそうです。お互いに何の関係性もないけれども、集積することで相乗効果が生まれている。

一方で「きちんと都市計画を描いてゾーン化すべきだ」という意見もあるけれど、僕はそれじゃ駄目じゃないかと思うんです。民間がそれぞれ知恵を絞って開発し、競い合いながら関係性をつくっていく。

昔なら「もう六本木にはヒルズとミッドタウンができちゃったから、別なところにつくろう」と思ったかもしれない。しかし、今は逆で「近くにつくろう、集積することで相乗効果を高めよう」となってきた。計画性ではなくて創発性です。

民間企業が「これはおもしろいな」と思ったことにどんどん乗ってくる。そういう形でしか、東京って再生しないんじゃないかなと思うんです。隈さんはどうお考えですか。……

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2008年3月 4日 (火)

人的交流のゲートウェイを目指すなら、東大の民営化を

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その13

米倉誠一郎: 日本の高等教育機関については僕も言いたい。スタンフォード大学のフーバータワーの広場に立っていると肌で感じますよ。『ここには、世界中から「俺は何かやりたい」という人間が集まっているんだな』と。三四郎池に座っていても寒いだけ(笑)。なぜかというと、世界を相手にしてないからなんです。

隈研吾: 残念ながら、デザインや建築を勉強するために日本の大学に留学する人はいない。でも、「日本の設計事務所で働きたい」という人間はいっぱいいるんですよ。日本の建築家は世界で高く評価されているから、「そこで働きたい、技を磨きたい」という人間はいっぱいいる。

アメリカの建築は今は全然駄目なんです。国家の知恵が映像とかITに流れてしまって、アメリカの建築文化自体はガクンと落ちちゃっている。けれど、建築の大学だけは健在。それはアジアから先生を……

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2008年2月26日 (火)

東京の魅力づくりには、歴史をずる賢く使うセンスが必要です

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その10

米倉誠一郎_隈研吾_竹中平蔵

竹中平蔵: 専門家の隈さんに聞いてみたいことがあります。それは、東京にとっての歴史の問題です。私は和歌山の出身。だから、小学校で習った地理は和歌山の地理が中心で、東京の地理ってほとんどわからない。東京の23区、どこに何区があるかと聞かれたら、実は答えられません。

でも、東京をうろうろするようになって、いろいろな歴史があることがわかっておもしろい。しかし、多くの人が東京の歴史を意識していないんですね。

例えば、私が今住んでいる所は中央区ですけれども、聖路加病院の近くの中津藩邸で福沢諭吉が塾を開いていた。その50年前に、全く同じ場所で杉田玄白が解体新書を書いていた。びっくりするわけですよ。こんなエキサイティングなところだったのか、と。しかし、多くの人が東京の歴史を……

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2008年2月22日 (金)

米国の知恵は、寂れた場所をしばらく放っておくこと

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その9

隈研吾隈研吾: アメリカがすごいなと思うのは「駄目になったところをしばらく放っておく」という知恵です。ニューヨークの都市開発が失敗してハーレムになったけど、そのまま放置しておきました。日本は放置しておくことをすごく怖がるけれど……。

これは『都市の護送船団』に書いたことがあるんですが、駄目になったところを放置しておくのにもお金がかかるし、周囲にもいろいろしわ寄せがきます。でも、辛抱していれば、必ず別の波が来るんです。

「ちょっと危なくても、汚くても、住んでみようか」というアーティストとか若者が出てきて、そこに住み始める。それがきっかけになって別の循環が生まれる。新しい地域のキャラクターが生まれてくる。しかし、日本人はできないんですよ、怖くて。

竹中平蔵: 今の話は、最初の「オープンスカイ」の話にもつながりますね。日本の行政は必ず……

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2008年2月18日 (月)

毎朝毎晩350万人が通勤する、こんな都市は世界に類がない

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その7

隈研吾 竹中平蔵: 数年前、日経センターが「アジアの都市の競争力比較」をしたんですが、ほとんどの項目で東京が1位です。例えば、一人当たりの所得はもちろん1位、一人当たりの財政規模も1位。ところが1位じゃないものもいくつかあるんです。

1つは、「人材」。定義の仕方でも変わるので、もっと多元的な議論をする必要はあるとは思いますけれども、人口の中に占めるPh.D.保有者、マスター保有者、高等教育機関を受けた人の数とかを総合的に見ると、1位は中国のシンセンで、東京は2位でした。

公務員の比率も意外に高い。北京ほどではないですけれどね。一つは東京が政治的な中枢管理機能を持っているからでしょうが、まだまだ日本は「大きな政府」なのかもしれません。

東京が優れているのは……

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2008年2月 8日 (金)

中国は現代アートも建築も熱い。しかし、日本は未だに実績主義です

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その4

隈研吾 米倉誠一郎: 確かに東京は成熟しつつあると言えますが、ニューヨークのあのエネルギーって何なんだろうか、とよく思うんですね。

すごく腹立たしいんですが、米国のビジネスコンサルタントの友人が来日して「日本はつまらない」と言うんですよ。「何がつまらないの」と言ったら……

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2008年2月 6日 (水)

東京はものすごくゆっくりしちゃったな、と感じます

「これからの東京~ビジネスと感性が融合する都市像~」その2

米倉誠一郎_隈研吾_竹中平蔵

米倉誠一郎: 建築の世界では「東京は結構おもしろい」という説と「ほとんど壊滅的だ」という説と2つありますが、隈さんはどう思われますか。

隈研吾: 東京に対する評価はさまざまですが、私は「ものすごくゆっくりしちゃったな」と感じます。

実は、今日も北京から帰ってきたところなんですが、中国の諸都市では「デザインをどうしよう」とか、「どういう街づくりをしようか」といった議論が盛り上がっていますし、世界中に面白いアイディアを求めている。面白いことを考えている人がいたら、すぐ呼んできて案を出させ、駄目なら別の人間にとっかえようという感じです。こちらはたまったものではないんですが(笑)……

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隈研吾プロフィール

隈研吾 隈研吾(くま・けんご)
建築家

1954年横浜生まれ。 1979年東京大学建築学科大学院修了。 コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。自然と技術と人間との新しい関係を切り開く建築を提案。2001年より慶應義塾大学理工学部教授。

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