
澁川雅俊: ここまでは辞典・辞典そのものについてお話ししました。ここから少しばかりそれらの編纂にまつわる本の話を少しばかりします。
辞典類の編纂は、大げさに言えば森羅万象をわしづかみにしてその全体を表すことなので、苦労も多いしちょっとした間違いが起こることもあります。例えば、『明解物語』(柴田武監修・武藤康史編、01年三省堂刊)は三省堂の『明解国語辞典』や『出逢った日本語・50万語-辞書作り三代の軌跡』(松井栄一著、02年小学館刊)と『国語辞典はこうして作る-理想の辞書をめざして』(松井永一著、05年港の人刊)などは辞書編纂の大変さを素直に語っています。とくに後者の2つは祖父・父・本人と三代にわたって『日本国語大辞典』(小学館)の初版と第2版の編集委員をつとめた人たちの苦労話です。
なおこの手の本では、世界最大の英語辞典Oxford English Dictionaryの完成に費やされた70年の物語『オックスフォード英語大辞典物語』(サイモン・ウィンチェスター著、苅部恒徳訳、04年研究社刊)があります。英語辞典に関しては18世紀半ばに独力でそれを編纂したサミュエル・ジョンソンが知られていますが……
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澁川雅俊:
また日常生活でよく目にする句読点その他の記号200項目取り上げ、その適正な使用法を『句読点、記号・符号活用辞典。』(07年小学館刊)や『句読点活用辞典』(大類雅敏編著、06年栄光出版社)(※9)などがあります。これらは“変わり”辞典とでも名付けておきましょうか。

澁川雅俊:
ですから、日本人なら中学生以上の人たちはみなこの物語のことを知っているはずです。しかしそれほどよく知られていても、それを読んだという人たちはそれほど多くないのではないでしょうか。もっとも中にはまんが『あさきゆめみし』(大和和紀、講談社刊)を見ている方々もたくさんいるかもしれません。……


澁川雅俊:
澁川雅俊:
物語は、銀のスプーンをくわえて生まれてきた千年前のセレブリティな男光源氏と、その息子と孫息子にわたる恋と愛欲、そしてそれに応ずる貴女たちの想いと振る舞いを主筋とした大河ドラマです。読んでみて日本人の恋愛の考えや行為が……




総合国語辞典の特大辞典は次の1点、『日本国語大辞典(全13巻・別巻)〔第2版〕』(日本国語大辞典第二版編集委員会編、2000-02年、小学館刊)です。その収録語60万語(見出し語数50万語、方言の異形10万語)、用例数100万と喧伝されています。
60万語というのは大変な数ですが、今私たちが使っているすべての日本語がこれに含まれているかというと、そうではありません。日本語の範囲を特定することは簡単ではありませんが、辞典は日本語の中から収録することばを選んでいます。「選ぶ」ということは、「たくさんあるモノの中からこれはと思うモノ、あるいはそう評価されるモノをより分ける」ということですから、何らかの基準、多分「適正な日本語として定着している」ということがあって選別されて、収録されているといっていいでしょう。その辺りのことは原則として各辞典の「凡例」に簡潔に述べられています。

澁川雅俊:
例えば『辞書の政治学-ことばの規範とはなにか』(安田敏朗著、06年平凡社刊)という本がありますが、同じ辞書関係の本であってもそれと『イミダス』では随分と違います。また『辞書の図書館-所蔵9,811冊』(清久尚美編 02年駿河台出版社刊)というものがありますが、これも前の2つの本とは内容の記述法が違っています(※1)。










