講師:遠藤功

2008年3月28日 (金)

世界に打って出ることによってプレミアムがビジネスになる

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」その5

『プレミアム戦略』(遠藤功/東洋経済新報社)遠藤功:  7番目は、細部にこだわること。プレミアムで一番重要なのは、ここだと思っています。お客さんの目に触れるすべてにおいて、完璧性と一貫性を求めなければいけない。商品が入る箱、リボン、バッグ、もうすべてのところに目配せをしなければいけない。ここは日本の会社の下手なところですよね。カルティエやエルメスは上手です。女性が箱をあんなに大切に取っておくのはなぜか。そこに価値があるんです。このぐらいでいいやと思ってしまうと、そこから崩れていく。

 京都で有名な川端道喜のちまきは、5本で3150円。1本630円です。日本で一番歴史のある、ちまきです。非常に柔らかな作りで、持ち帰りだと崩れてしまうわけですね。なので、わざわざ持ち帰り用の紙袋の底にクッションを入れてくれる。この小さな心づかいに感動するわけです。そういう感動が無かったら、「えっ、これで3150円!」となるわけです。細部へのこだわりがあるから「ああ、細かいところまで気を使っているね。だから川端道喜だ」になるわけで、やっぱりそういうところを考えなければいけない。

続きを読む "世界に打って出ることによってプレミアムがビジネスになる"

|

2008年3月26日 (水)

飢餓と枯渇を醸成していくことがエモーションを刺激する

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」その4

遠藤功:

  • たくさん売ろうとしない
  • カスタマーではなくファンを作ること
  • マーケティングではなくストーリーを語る

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」  これまで話した上記の発想を転換し、実際にどういう戦略を打ち出していくのか。『プレミアム戦略』では、8つの原則というものを打ち出しました。

 まず1つ目は、作り手の主観です。プレミアムというのは「作りたい人が作りたいものを作る」ということです。その代わり、それは究極のものでなくてはいけない。それがフラッグシップになるわけです。

 2つ目に、プレミアムは常に進化を求められます。日本の中にも伝統的なプレミアムの会社があります。とらやなど典型的ですよね。1本5000円のとらやの羊かんって知っていますか? そのとらやもどんどん進化を続けています。とらやの今の当主は言っています。「伝統とは革新の連続だ」と。

続きを読む "飢餓と枯渇を醸成していくことがエモーションを刺激する"

|

2008年3月24日 (月)

マーケティングではなく、ファンにストーリーを語らせる

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」その3

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」遠藤功:  3年前からトヨタ自動車が国内でレクサスを始めましたが、当初はうまくいきませんでした。浮上してきたのは去年(2007年)です。なぜ、立ち上げ時はうまくいかなかったのか。ここに、日本の会社がプレミアムを考える際のヒントがあるのです。

 レクサスが日本での立ち上げに失敗したのには、幾つかの理由があります。まず、立ち上げたときにレクサスの「顔」となる商品が無かったこと。車好きの人だったら分かるかもしれませんが、レクサスにはLSというアメリカで大ヒットした高性能のモデルがあります。

 そもそも、アメリカで成功したのは、このLSという商品があったからです。それを日本版として新しいエンジンで開発することになりました。残念ながらその開発が遅れ、投入が1年遅れたのです。それでもトヨタはレクサスの国内での発売に踏み切りました。投入したのは3車種、GSとISとSCです。

 それぞれのモデルはけっして悪い車ではありません。でも、残念ながらそれはレクサスを代表するようなフラッグシップとは認知されなかったわけですね。ですから、マーケットでは、「GSはアリストだよね」「ISってアルテッツァだよね」「SCはソアラだよね」という話になってしまうわけです。そんなものをなぜ100万円も高く買わなきゃいけないんだと。そういった意味で、やっぱりプレミアムの顔としてのフラッグシップは不可欠なのです。そのブランドを象徴するような商品が無いということは、もう致命的なのです。

続きを読む "マーケティングではなく、ファンにストーリーを語らせる"

|

2008年3月21日 (金)

ワクワク、ドキドキするのがプレミアム

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」その2

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」遠藤功:  では、「プレミアム」というのは何なのか。いろいろな定義がありますが、そもそもプラス・アルファの価値のことをプレミアムと呼ぶんですね。私が一番プレミアムを分かりやすく伝える言葉として感じているのは、「ワクワク、ドキドキするか」ということです。より本物だったり、極上だったり、レベルの違う別世界の一番いい商品というのがプレミアムだと。当然、それはあこがれにもつながっていくわけです。ワクワク、ドキドキしてしまったらお客さんは対価を払ってしまうんですよ。その部分が、エモーショナルな「情緒的価値」です。

 皆さん、どういう買い物をしたときにワクワク、ドキドキしました? 私が最初にワクワク、ドキドキしたのは、やっぱり初めて外車を買うときでした。BMWのディーラーに行ったときには足が震えましたよ。そして契約書にサインするときは、いいのかなあと(笑)。そういう高揚感が、日本の商品を買いにいくときにあるのかどうか。残念ながら、多くの日本の会社には、情緒的な価値を提供するノウハウがない。そうすると幾らいいものを作っても、それは所詮プレミアムにはならない。じゃあ、ワクワク、ドキドキってどうやったら生まれてくるんだろうということをやっぱり解明していかなければいけないわけです。

続きを読む "ワクワク、ドキドキするのがプレミアム"

|

2008年3月19日 (水)

キャッチ・コピーではなく戦略としてのプレミアム

RoppongiBIZ*東洋経済提携セミナー「遠藤功のプレミアム戦略」その1

遠藤功遠藤功:  私は去年の12月に『プレミアム戦略』という本を出したのですが、なぜそんな本を出したかというところからお話をさせていただきましょう。たぶん、ここ3年ぐらいの間にいろいろなメディアで「プレミアム」という言葉をよく耳にするようになったと思うのです。私はコンサルティングをもう20年やっていますが、いろいろなプロジェクトにおいて「高付加価値戦略」「プレミアム」などというアプローチを展開してきました。

 日本の企業が成長していく中で、どうやって高付加価値の方へシフトしていくのか。しかも、ただ単にシフトするだけではなくて、プレミアムの価格を取れなくてはいけないわけですね。これは結構大変な作業で、たくさんのプロジェクトをやってはきましたが、なかなかうまくいかないものでした。

 「プレミアム」という言葉がどんどん独り歩きしている中では、「キャッチ・コピーとしてのプレミアム」ではなく、「戦略としてプレミアム」を考えていかなければいけない。広告宣伝の中で「プレミアム」という言葉を使えば、それでお客さんがうれしそうに買うんじゃないか、という安易な考えに流されがちですが、そうではなくて企業の戦略としてプレミアムを打ち出していく必要があります。今まで日本の企業がやってきたビジネス・モデルから、とにかく発想を変えなければいけ ない。では、そこで打ち出す戦略というのは、今までの戦略と何が違うのかということをきちんと整理したいということで、この本を出したわけです。

続きを読む "キャッチ・コピーではなく戦略としてのプレミアム"

|

遠藤功 プロフィール

遠藤功

遠藤功(えんどう・いさお)
早稲田大学大学院商学研究科教授/株式会社ローランド・ベルガー会長

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。
三菱電機株式会社、米系戦略コンサルティング会社を経て、現職。
早稲田大学ビジネススクールでは、経営戦略論、オペレーション戦略論を担当し、現場力の実践的研究を行っている。また、欧州系最大の戦略コンサルティン グ・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。ローランド・ベルガードイツ本社の経営監査委員でもある。 中国・長江商学院客員教授(2008年より)、日新製鋼株式会社経営諮問委員などを兼任。

続きを読む "遠藤功 プロフィール"

|