講演テーマ004:「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」

2008年5月23日 (金)

独法改革でも除外されている国立大学

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その29
―質疑応答―

岸博幸: 本間先生、野村先生も意見があるようです。

本間正明: この中で国立大学の教官をやったのは私だけ。ああ、部分的には国立大学にいらした方もいらっしゃるのですが、最後までまっとうしたのは私だけなんで、国立大学の弁護をしたいと思います(笑)。

こんな楽なところはないんです(笑)。予算はずっと平等に配られますし、全部文部省が面倒を見てくれますから、好きなことをやっていればいい、好きなことをやるということは、過去の自分の盛りのころの学問をずっと同じようなことをやる、社会への貢献をすると「あいつは何をやっているんだ?」という形で内向きな話ばかりをしているわけです。ですから、国立大学は「愚者の楽園」などという言い方をされる場合もあるんです。

このパラダイムを壊すのは内部的にはほとんど不可能です。だから今、竹中教授がおっしゃった通り、やはり……

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2008年5月22日 (木)

文部省の廃止、東大の民営化の意義

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その28
―質疑応答―

ロバート・フェルドマン3岸博幸: 教育に関して、フェルドマンさんも一言あるようですので。

ロバート・フェルドマン: 冨山の話、全くその通りだと思いますけれど、簡単に私は2つの提案があります。

1つは文部科学省の廃止です(笑)。いや、これは真面目な議論です。なぜかといいますと、やはり競争していないからです。組織のために教育をやっていて、学生のためにやっていない。これは廃止すべきです。大きな失敗をしたわけだからつぶれるべきです。

もう1つは40歳定年制度を導入すべきだと思います。40歳になったときに、契約更新はしてもいいけれども、義務はない。そうすると30歳のときにすべての労働をしている方々が、自分がどうなるかということを心配して、自分を教育するということになると思います。文部科学省の廃止と40歳定年の導入、その2つの提案をしたいと思います。

岸博幸: 竹中先生も一言あるようです。

竹中平蔵: 今、文部科学省の廃止というふうにフェルドマンさんが言って、皆さん笑ったわけですけれど、私は笑いごとではないと思います。私が同じような観点で言っているのは、東大の民営化をやろうじゃないかと。

世界のトップ100の中に日本の大学は……

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2008年5月21日 (水)

日本の教育の課題について

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その27
―質疑応答―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開観衆C: 今日いろいろな議論が出ている中で、1つ出ていない大きな問題、教育の話ですが、再生機構の冨山さんから人の話が出たので、冨山さんのお立場から教育の課題について、お考えがあればお聞きしたい。

冨山和彦: もともと経済上の競争力に関わる観点での教育は、恐らく日本の場合には学校でほとんどやっていなかったと思います。過去もそうだったと思います。実はそれを企業が担っていたのではないかと思っています。

人材の劣化の問題で非常に大きな理由の1つは、恐らく1990年代に日本の企業は若い人を採っていないことです。非常に採っていません、いわゆるロストジェネレーションになっているんですね。ということは、ある一定段階から下の世代というのは、基本的な産業人、職業人としての教育を受けていない、今20代30代に、そういう人がものすごい比率でいるということです。

じゃあ、どうするかということなのですが……

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2008年5月20日 (火)

政策の責任の在りか、民主主義の政治プロセスについて

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その26
―質疑応答―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 岸博幸: それでは、これからフロアの皆さまの質問を受けさせていただきたいと思います。

観衆A: いろいろな法改定をするときに、誰の責任かなというのをいつも思うのです。それは3つ考えられ、まずは何かが起きると「政府が悪い」とかいう国民自体のせい。もう1つは、そういうのを煽って視聴率が稼げればいいマスコミ。そういうのにビビる政府。その3つのバランスで、どこに一番問題があるのかなと。竹中先生にお願いします。

竹中平蔵: まず基本的には、日本の社会全体を通してですけれども、問題を分析するときに、弱者と強者に分けるということが必ずあると思います。弱者と称される人、多重債務者がかわいそう、地方の人は弱者である、そういう理由。そこがすべての価値観を決めているというのは、1つの根底的な問題としてあるんだと思います。これは……

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2008年5月19日 (月)

「中央銀行の総裁を“普通”の人に」

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その25
―第3部「政策不況」―

高橋洋一: マクロとミクロ、1つずつ挙げたいのですが、マクロは日銀、ミクロは社保庁の話。社保庁の話は、私はだまされ続けたので、あとでどこかで言ってもいいのですが、マクロの日銀の話は、これは2年間、デフレ脱却を妨げてきましたね。

私はあるところで論文を書いて、なぜ日本の株価が世界より劣っているんだ、出遅れているんだと。サブプライムは関係ないですよ。他の国は関係あるから多少は影響があるのはわかるが、関係ない日本の株価はどうしてなのか考えて、いろいろな要因を見たら、2006年から7年かけて金融の引き締めをしているんですね、それでほとんど説明できてしまう。実はそれがなかりせばどうなったかというと、株価が今より4,000円か5,000円高くなっているはず。ものすごい大きな損失なんです。そんなことも平気でやっていた。

実はそれに対して、私たちのグループでいろいろ批判しましたけれど、今の制度では何もできない。ですから多分、本当によくするんでしたら、中央銀行の総裁を“普通”の人にするということをやれば、かなりよくなると思います。……

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2008年5月16日 (金)

「国民を馬鹿にしている政策がずっと続いている」

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その24
―第3部「政策不況」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 本間正明: 皆さんと同じように、すべて腹が立っているような部分があるのですが、この流れの中で愚民化政策、国民を馬鹿にしている政策がずっと続いているんですね。

ミートホープとか吉兆の問題は確かに偽っていますから大変な問題があるのですが、消費期限を何で官が決めなきゃいけないんですか、規制をしなきゃいけないのですか。昔は、「ちょっとおかしいな」とか言って、自分で判断するとか、そういうことがあったんですよね。あらゆる安全安心を官でやらなければいけないというのは、国民が注意義務を全く持っていなくて、そして判断能力がないということを前提にして、それが規制強化を生み出しているのです。

例えば……

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2008年5月15日 (木)

「政府は決定しそうな顔して何もしなかった」

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その23
―第3部「政策不況」―

竹中平蔵: 1つを選ぶのは難しいんですけれど、私は公約違反について誰も責任を問わなくなったというのが、一番腹立たしいというか、危険な兆候だと思います。皆さんお忘れでしょうか。2006年度に「名目2%成長を達成する」というのは公約だったんです。しかし、2006年度達成されなくて、2007年度も達成されないのです。

こういうことの中で、当然のことながら「なぜ達成されなかったんだろう、どこが悪いんだろう、責任をとる人がいるのか」というのを議論するのが当たり前なのに、誰も議論をしない。これは政府の中でももちろん議論しませんけれど、国会でも議論されていないし、マスコミも議論をしていない。こういうことを積み重ねていくと、もう改革のタガがどんどんどんどん緩んでいきます。

公約、約束したことは守りましょう。何の政策を議論するときも、私はこれが基本だと思います。

加藤寛: 私が一番腹が立つのは、決定しそうな顔をしながら何もしなかったということですね。これは本当にね、何を考えているのかわからない。福田さんという人は……

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2008年5月14日 (水)

昨年最も腹の立った政策とは?

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その22
―第3部「政策不況」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 岸博幸: 第3部、まとめのセッションでございます。最初、「昨年(2007年)1年で最も腹の立った政策は何か」を少し議論して、その後、皆さまから質問を受けたいと思っています。

ここにポリシーウォッチのメンバーで議論して、「ちょっとこれ問題があるよね」となった政策を、とりあえず例示として書いております。この中から特に選ぶ必要はないのですが、とりあえずメンバー全員に一言ずつ、特にどの政策が去年1年で腹が立ったかを順番にしていただきたいと思います。

跡田直澄: 私はもう最初の発表からもわかる通り、成長を妨げるような政策をとってくれた、法人税議論を先送りしたというところが、一番頭に来ているところです。

ついでにいうと、タクシーが好きなんですけれど、タクシーの料金が上がったという、要するに規制改革を否定するような、ばかげた運賃値上げをしたという、そこに頭に来ているところはあります。

ロバート・フェルドマン: 私が一番腹が立ったのは、やはり道路財源の問題です。これ非常に象徴的なもので、まさに安倍政権も半分そうだったのですけれど、福田政権が……

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2008年5月13日 (火)

現実を直視しよう、正論で議論しよう

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その21
―第2部「日本は変われるのか」―

加藤寛: 今、伺っていて思ったことは、官と民が手をつないでグルになっているんですよね、そこがね、あるんだから、いくら民がコンプライアンスを高めてやってみても、結局そのコンプライアンスのルールは全部官僚から回ってくるわけですよ。そういうものに乗っかってやっている以上は駄目なので、官というのを、どうすれば民間と同じようにできるかということが重要ですよね。

1つは会計原則をきちんとつくろうと。もう1つは、官僚には失業保険がない、だから失業したからといってハローワークは使わないのですけれど、失業保険をちゃんとつくって、みんなそこへ行けばいいわけです。朝から並んで自分の職を探すために、どんなに民間が苦労しているかということを味わえばいいんですよ。そうすれば、官僚というのが変わっていくんですね。

それをやらないものだから、官僚というものが……

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2008年5月12日 (月)

構造改革は、言うなれば既得権益との戦い

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その20
―第2部「日本は変われるのか」―

野村修也野村修也: 私はやはり構造改革というのが既得権を打破するものだということを、もう一度再確認するべきなのではないかと思うのです。格差の問題というのを言えば言うほど、実は既得権者が残っていくという構造になっているというのが、非常に大きな問題だろうと私は思っています。構造改革というものが行われるときに、必ず抵抗する人たち、誰が抵抗しているかということを見ていただきたいわけです。

私、実は公務員改革で官民人材交流センター、いわゆる天下りバンクの制度設計の有識者会議に出席して、何回も「渡りはやめましょう」ということをずっと言い続けたのですが、私は危険思想の持ち主だと何か官邸の方でブラックリストに載ってしまったようです。議事録がネットで配信されていますから、見ていただければわかりますが……

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2008年5月 2日 (金)

「国・官頼み」発想から離れたことで民間に活力

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その19
―第2部「日本は変われるのか」―

松原聡: 要するに構造改革の目玉というと、郵政民営化と道路公団なんですが、道路公団が株式会社になっても、まだ1年2年の話で、郵政にいたってはまだ3カ月しかたっていない中で、そういう構造改革の成果がダイレクトに経済に結びついているわけではないのです。これからの話です。

ただ、私がいろいろな企業の経営者の方たちとお話ししていて感じるのは、やはり構造改革ということで郵政にも手をかける、道路公団にも手をかける、財政も切り詰めるという中で、何となしに、自分たちの民間の企業の中にもあった、苦しいときの国頼みというのでしょうかね、苦しいときの官頼みみたいな発想がなくなってきたんだと。これは不良債権処理での金融もそうですね。

その意味で、構造改革というものが日本社会とか経済全体に対して、今まであった一種のもたれ合いみたいなことでは……

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2008年5月 1日 (木)

格差の本質は、人材・生産性・競争力の差

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その18
―第2部「日本は変われるのか」―

竹中平蔵: 皆さん、大変刺激的な議論をありがとうございました。自由に話してくれといったら、本当に勝手にいろいろなことを話され(笑)、これはえらいことになってきたなというふうに思うのですが。

野村先生は、まさに「政策の正論を議論しないことが弊害」という議論をされました。冨山さんは「人的資源の危機である」ということを強調されました。加藤先生は「官依存の体質が民にもあるということも含めて、官依存の体質の問題意識」を福沢諭吉を例にとってお話になりました。松原先生は3つの視点、「目標・中長期の戦略・総合的ということを踏まえて、やはり頑張るべきところは頑張らなければいけない」という話をされました。木村さんは、CRICサイクルのフェルドマンさんの意味づけ、解釈をさらに深めた上で、「歪んだ実態、歪んだルールそのものを、この国の中の議論の仕方そのものに根本的な危機感を持つ」という話をされたんだと思います。

これらの論点について、チャレンジするところがあれば言っていただきたいのと、もう1つ、格差の問題と地方の再生の問題というのは、政治つまり永田町とマスコミは大好きなんですけれど、この問題に対して、政策的な観点から言うべきことがある方もいらっしゃると思います。今の点を踏まえて、手短に自由にご議論をいただきたいと思います。……

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2008年4月30日 (水)

経済の実態、物事の本質を見ていない日本人

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その17
―第2部「日本は変われるのか」―

木村剛 竹中平蔵: 最後になりましたけれど、木村さん、よろしくお願いします。

木村剛: すでに論点は出尽くした感があると思うのですが、私はあえてチャレンジしますと、フェルドマンさんの言われたCRICサイクルというのは、もう終わっていると思うのです。何が終わっているかというと、フェルドマンさんの説によれば、危機が起こると反応が起こって改善が起こる? ありません、無理です(笑)。

それはなぜか、それは危機が起こっても危機と感じないような体質になってしまったのですね。先ほどの第1部では「経済学を知らないから」というお話があり、それも確かにあると思いますが、恐らく「経済の実態を見ていないから経済学の使い方がわからない」というのが、今の日本経済の実態ではないかと思います。

私はどうしても金融畑なものですから、そういう観点からものを見てしまいがちなのですが、最近何を語るにも「サブプライムローン問題」です。日本経済の先行きも「サブプライムローン問題」、「サブプライムローン問題で世界の金融が収縮する、信用収縮が問題だ」という馬鹿なことを言っている方がたくさんいるんですね。冷静に見てください。……

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2008年4月25日 (金)

政党はマニフェストで中長期的な基本方針を

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その16
―第2部「日本は変われるのか」―

松原聡: 現実がどうかというと、そのように政策は進まないと思うのです。加藤先生が「官が悪い」「官が悪い」とおっしゃいましたが、構造的にしょうがないと思うのは、官僚の方はやはり2、3年でポジションを替わっていきますから、その間うまくいっていればいいわけです。5年先10年先を見通す必要は実はないんです。

不幸なことだと思いますが、政治家も全く同じです。特に衆議院の場合は、3年ぐらいで総選挙、どんなに長くても4年しか任期がないわけでありますから、次の選挙で勝つことを考えればいいわけでありまして、5年後10年後を考える必要は実はないんです。

その意味で、政策決定する官僚の方も数年のタイムスパンでしか、ものを考えないような仕組みになっている、政治家の方も同じだと。私が申し上げた、総合的で中期的で明確な目標を持った改革ができるのかというと……

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2008年4月24日 (木)

大切なのは明確な目標、中長期的視野、政策の総合性

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その15
―第2部「日本は変われるのか」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 竹中平蔵: 非常に刺激的な意見が続いておりますが、特別ゲストの方にご発言をお願いします。松原先生。

松原聡: 今日、全員で11人ですか。今、加藤先生のお話を伺っていて、この中でミイラになれる人が何人いて、100年後何を言うかなんですが(笑)。

竹中さんが5年半ぐらい改革をやってきて、相当の成果を上げたと思うのですよ。でも、今ミイラで復活したような気分になっているのではないか、今までやってきたのは一体何だったんだ、変わってないじゃないかと、こんな復活の気持ちになっているのではないかと、私は思いました。

私は経済政策をやっておりますので、政策についてお話をします。こういうふうに時代が混乱している時期は、政策には3つの非常に大きな視点が必要なのではないかと思っています。……

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2008年4月21日 (月)

100年前の福沢諭吉の日本と、今の日本

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その14
―第2部「日本は変われるのか」―

加藤寛: 正月にいつも私は思い出すのですが、福沢諭吉は生まれたのが1月10日で、死んだのが2月3日なのです。彼は最初、品川の常光寺という、海のそばのお寺に埋葬されました。当時の伝説では、聖人君主というのは必ずミイラになるといいました。それから100年経って、福沢諭吉を常光寺から今のお寺に移すので、お墓を掘り返したんですが、そのとき、福沢諭吉がミイラになっていたんです。品川にはそういう化学物質がありまして、ミイラになる可能性があったんですが、ミイラになりました。

ミイラになった福沢諭吉は手を胸に合わせて、そして和服を着て、ちゃんと足袋も履いて、いかにも生きているかのように“蘇った”そうですが、私はそれを聞きまして、「ああ、すごいな、福沢諭吉というのはすごいな」と思ったのです。

彼が死んだのが1901年でありますから、今、目を覚ますとすると福沢諭吉は100年間寝ていたわけですが、今、彼が再び目を覚まし、もし口を開いたとしたら、何と言うだろうかと。そのとき福沢諭吉が言う言葉は決まっています。それは……

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2008年4月16日 (水)

20年後、日本企業は食えても日本人は食えなくなる

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その13
―第2部「日本は変われるのか」―

冨山和彦 冨山和彦: 私はどちらかというと経営の世界に生きている人間ですし、かつ産業再生機構のときには、実は4分の3ぐらいの案件は地方の中堅オーナー会社が多かったので、割と地方の企業が現実に直面している問題というのは、生の現場で見てきたつもりなのです。

そういうものを全部ひっくるめて申し上げますと、第1部で「日本人の劣化」という話がありましたけれども、これは明らかに劣化しています。非常に劣化が進んでいます。これは、私の本の題名もそうなのですが、特にリーダー層、トップ層に顕著ですね。オーナー会社のオーナーもだいたい3代目4代目です。だいたい3代目の何とやらというのですが、劣化が激しいです。

日本は言うまでもなく人的資本で食っている国です。残念ながら、その辺を掘っても石油も出てこなければ、ウランも出てきません。したがって、人的資本が一生懸命競争力を持っていて、その競争力で……

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2008年4月15日 (火)

官僚がつくり出す“大きな政府”政策

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その12
―第2部「日本は変われるのか」―

野村修也 竹中平蔵: 今の枠組みの中でということになると思いますけれど、日本の現状評価と問題点の指摘という観点から、手短に問題の提起をしていただければありがたいと思います。野村先生からお願いします。

野村修也: 今、フェルドマンさんの方からお話がありましたけれど、やはり反応というのが、今一番大事な状況にあるんだというふうに思うのですが、ただ、政治の話のほかに、やはり官僚の方々が非常にメインのプレイヤーになっているというのが現状だと思います。

彼らの反応の仕方なんですけれども、やはりそこにバイアスがかかっているというのが問題ではないかと考えています。と言いますのは、小さな政府か大きな政府かということを選択するということになるわけですが、官僚の方々にとってみますと、自分たちの存在意義を維持するためには大きな政府がいいということに当然なるわけです。

そこで今出てきている政策は何かといいますと……

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2008年4月10日 (木)

次の総選挙で起こり得る政界再編

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その11
―第2部「日本は変われるのか」―

ロバート・フェルドマン: さて、CRICという言葉ですけれども、この4つの局面、どういうことなのかと言いますと、まず成長率が下がっているとき、あるいは株価が下がっているとき、これは危機です。それに対する反応、次は改善、改善の次は何かというと怠慢です。これはCrisis、Response、Improvement、Complacencyという4つで、だからCRICサイクルといいます。

このサイクルの中で一番大事なのは反応です。どうするのかということです。これから日本の反応に関しては、政界再編の話になりますけれども、次のようなことが言えると思います。

今の政治議論を見てみますと、実は2つの大きなことが議論されているのではないかと思います。1つは、小さな政府か大きな政府かという議論です。これは横軸です。もう1つは……

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2008年4月 7日 (月)

成長率と改革速度の関係から日本経済を読む

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その10
―第2部「日本は変われるのか」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 竹中平蔵: 第1部はマクロ経済に焦点を当てたわけですが、ここから構造改革、日本をどうしていくかという観点から、自由に幅広く議論をしていただきたいと思います。この壇上に乗っておられるのは先ほどと同じ、私の方から見て、フェルドマンさん、そして中央大学の野村先生、元の産業再生機構のCEOの冨山和彦先生、よくご存知の加藤寛先生、以上、ポリシーウォッチのメンバーですが、きょうは特別参加でさらにお2人をお招きしております。

その隣は、松原聡東洋大学教授でいらっしゃいます。松原さんは、民営化された日本郵政の社外取締役として、大変改革に辣腕を振るわれているというのと、総務省の放送・通信の融合の、まさに松原委員会の座長を務められてきたわけであります。そして、これまたご承知の木村剛さんでいらっしゃいます。木村さんは、まさに不良債権処理のときの立役者で、私たちの不良債権チームの中心的なメンバーであらせられました。

それでは早速始めたいと思いますけれど、日本の現状、最初にフェルドマンさんから、簡単に問題の提起をしていただいて、そして議論に入っていきたいと思います。フェルドマンさん、お願いします。

ロバート・フェルドマン: 問題提起という点ですが、まずどういうふうにこの問題を分析するかということに関して、簡単に私がここ10年ぐらい使っているやり方を紹介したいと思います。

これはCRICサイクルというものです。CRICというのは……

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2008年4月 2日 (水)

日本人は劣化しているのか

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その9
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

岸博幸 竹中先生が言及した2点目、「正論を吐く場所がなくなった」という点についても、まさに小泉政権時代、経済財政諮問会議、民間議員をやられていて、政府税調会長もやられた本間先生のご意見を伺いたいのですが。

本間正明: 正論を吐くということは非常に危険だということを実感しているのですけれど(笑)。しかし言い続けなければ、この国は変わらないのだろうと、私は思うのです。

今、高橋君の方から話が出ました、政府の意思決定というのは本当にごまかし。情報の非対称性を利用して、そっと忍び込ませて、2年先、3年先に政策を公約だと、あるいはこれは閣議決定だという具合に決めていくという、極めて民主主義にもとるようなやり方でやっているわけです。

竹中前大臣が苦労したのはまさにその点で、表に出して諮問会議でやろうとなって、つかの間の5年間は世界的にも評価をされ、株価が上がったわけですけれども、そのあとはフェルドマンさんのお話でもありましたけれど、ニューヨークが1下がれば、東京は2から2.5下がるという、そういう実態になっているわけです。

しかも為替レートがさらにそれと逆行するような形で上がるというのは……

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2008年3月31日 (月)

金融市場は日本に対して懐疑的に見ている

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その8
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

高橋洋一: 次のエピソード。これは増税したい、したいというので国庫負担の話です。先程本間先生から話が出ましたけれど、2009年、3分の1から2分の1に引き上げるという話、実はこれは2006年の“骨太”のときにすでに決着済みです。それなのにまた言っている。何かしつこくてゾンビみたいですが、いくら言ってもたたいても、また言ってくるのです。

その1つの証拠として、14日(2007年11月14日)の諮問会議のペーパーをぜひ見てください。そこには、実は2006年の“骨太”でも削られたはずの「国庫負担引き上げに伴う増税」という話が書いてあるのです。これははっきり言って知らない間に書かれているのです。だから諮問会議のペーパーで堂々と書いていて、実際、役所というのは一回書いたやつの次に新しいのを書いたら全部消えてしまうというのがあるんです。

知らない間に書かれているのですね。ですから、それは私、ある党幹部の方に申し上げました。そうしたら「とんでもない話だ」というので……

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2008年3月27日 (木)

政府の埋蔵金は約50兆円、これを吐き出させたい

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その7
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

高橋洋一 岸博幸 高橋洋一さんからもぜひ、歳出削減を含めコメントをお願いします。

高橋洋一: 先程の試算については全くその通りだと思います。私は昨年(2007年)9月まで政府の中におりましたので、そのときのエピソードを2、3ここでご紹介したいと思います。

最初に成長の話。これは竹中さんと全く同じなのですが、成長の話を言っていましたら、なぜか「成長に頼るのは悪魔である」とか「神頼み」か、いろいろ言われてしまいました(笑)。悪魔よりは神の方がありがたかったので、それは本当に神と言っていただけるのでしたら結構なのですが、よく考えてみると、この程度の話は世界標準で、どこでもやっているような話なんですね。

そうすると神は世界中にたくさんいて、日本だけが神じゃないと、こんなことになっている状況なのです。ちょっとでも成長の話をすると、「そんなのできっこない」と、何かすごく言われるのです。「できっこない」という根拠をたどっていくと、政府がやる気がない、やらない……

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2008年3月19日 (水)

経済学の欠如が日本での議論の問題点

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その6
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

ロバート・フェルドマン3 岸博幸 では、この試算に関して、まずフェルドマンさん、コメントをお願いします。

ロバート・フェルドマン: 私もやはり今の政策議論の中で、自民党にしても民主党にしても、経済学があまりにもないと考えています。これに関しては、3点申し上げたいと思います。

1つは、増税か歳出削減かという議論の中で、順序の話があまりない。増税を先にするか、歳出削減を先にするかということは、ほかの国では散々議論されていますし、あるいはどういう割合でやるのが一番いいのかという議論も散々あるのですが、今の日本で、それはほとんどないのです。

先に増税として、そのあとに歳出削減しようとすると、どうなるのか。……

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2008年3月17日 (月)

正論を吐く人がいなくなったという危機感

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その5
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

岸博幸 では、竹中先生。特に竹中先生は、よくメディアが「財政再建派」「成長派」といったステレオタイプな分け方をした場合、ある種、その筆頭に位置づけられているのですが、この試算についてのコメントをお願いします。

竹中平蔵 竹中平蔵: 皆さん、経済成長とか社会保障とか何%削減とかというと、非常に技術的に難しくて、なかなか頭の中でわかったような、わからないような感覚になるんだと思うのです。私たちが言いたいことは、要は次の2点なんです。

まず何のためにこういう試算を、あえてお正月早々出したかというと、2つの意味で、非常に危機感を持っているということです。この国の経済の、例えば2007年度の名目の成長率が何%になりそうかはご存知ですよね。政府が実績見込みというのを2007年度に出したのが、何と……

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2008年3月13日 (木)

このままでは“失われた20年”になる

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その4
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

“チーム・ポリシー・ウォッチ”メンバーが特別ゲストを迎えて激論を展開 岸博幸 では、この試算を共同でやられました本間先生からもコメントをぜひお願いします。

本間正明: 今の日本の経済政策は本末転倒な議論が非常に多い。「社会保障の財源をどうするか、だから増税だ」というような議論のされ方をするわけですけれども、本当はその国がどれだけ成長できるかということが、社会保障財源の最も基本的な問題なわけです。

最近の議論を見ていますと、ご承知の通り、2009年に基礎年金の国庫負担率を3分の1から2分の1にするのを見据えて、消費税を財源に年金等を賄おうというシナリオがずっと底流にあって、その底流に沿ってマスコミも含めて議論がなされているわけです。

しかし、じゃあ年金、基礎年金をどうするんだ……

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2008年3月10日 (月)

「消費税を社会保障財源に」の議論は危険

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その3
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

跡田直澄 跡田直澄: 提言の1つ目。要するに0.5兆円、もう少し改革努力をしましょうということです。歳出拡大で格差是正はできない。今盛んに格差是正のために歳出をもう少し増やそうとしていますが、そんなことをしたって格差の是正は絶対できない、また元に戻ろうというお話になってしまいます。

公共事業も、元に戻したい人たちがいっぱいいるようですけれど、こんな無駄なものはどんどんやめるというぐらいの徹底さを持たないと、改革というか、このプライマリーバランスさえも達成できなくなります、ということです。

2つ目は、成長を促進する必要があるということです。1%成長などという潜在成長率以下の成長率を想定するようなことがあっては駄目なわけです。そのために必要なことは、グローバル化への対応ということで規制緩和、これは混合診療とか、外国人もどんどん流入させるということも必要なのではないか。

それから法人税所得に関しても税率を下げて、さらに研究開発、要するに技術を進歩させるということが最も必要なわけで、成長促進政策を徹底的にとらないといけないということです。

3つ目は公的部門改革。これもまたどんどん最近後ろを向いていますが……

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2008年3月 5日 (水)

増税しなくてもPB黒字化は十分可能

「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その2
―第1部「それでも日本は増税するのか」―

政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~岸博幸 それでは第1部に入らせていただきます。第1部の参加者はポリシーウォッチからは跡田直澄先生、ロバート・フェルドマンさん、竹中平蔵先生。そして特別ゲストとしまして、近畿大学世界経済研究所教授の本間正明先生。本間先生はご承知のように前政府税調会長でおられました。もうお1人、エコノミストの高橋洋一さん、ご承知のように元財務省で、前の安倍政権でまさに安倍総理の補佐をされていた方でございます。

キックオフとしまして、本間、竹中、跡田3名の学者で、「増税が必要か」という試算をしてくださいました。この試算の結果を跡田先生の方から簡単に説明していただければと思います。

跡田直澄: 時間は5分といわれましたので、少し「増税なき成長経済」に向けてのお話をさせていただきます。提言内容として、ここでは4つ。最初に「増税がなくても2011年のプライマリーバランスの黒字化は達成可能だ」ということを数字で示させていただいて、そのために必要なこと……

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「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~」その1

岸博幸 岸博幸 実 は今日のメンバーは皆さん、講演依頼が殺到している方ばかりでして、みんなにもし、ちゃんとお金を払って講演してもらったら、大体いくらになるかなとさっ きちょっと計算したら、多分1,000万円を超えると思うのです(笑)。それを今回、皆さん無料で引き受けてくださっていまして、非常にそういう意味では ありがたく思っております。

最初に、ポリシーウォッチを代表しまして、慶応大学教授の竹中平蔵先生から、皆さんにご挨拶をしていただきます。

竹中平蔵 皆 さん、新年、明けましておめでとうございます。大変天気もいい中で健やかなお正月を過ごされたことと思いますが、ご承知のように(2008年)1月4日の 今日、株式相場は600円を超える大幅な値下げで始まりました。今の日本がおかれている経済、政治もろもろの状況を象徴しているような今年の始まりであろ うかと思います。

1年少し前に私たちは「ポリシーウォッチ」を立ち上げました。本当に政策のことを専門的に真面目にしっかりと議論しよう、政府の中で何年か過ごした経験として、民間が政策のことをしっかり見ないと、やはり政策は絶対によくなりません。

今の政策、いろいろ問題があると思いますけれど……

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2008年2月 6日 (水)

竹中平蔵プロフィール

竹中平蔵 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)
アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学教授

1951年和歌山県生まれ。 一橋大学経済学部卒業。日本開発銀行、大蔵省財政金融研究所主任研究官、ハーバード大学客員准教授、大阪大学経済学部助教授、慶應義塾大学総合政策学部教授などを経て、2001 年小泉内閣で経済財政政策担当大臣。2002年金融担当大臣、2004年郵政民営化担当大臣兼務、2005年総務大臣。この間2004年より参議院議員。2006年小泉内閣の終焉とともに辞職。同年12月アカデミーヒルズ理事長に就任。

現在、慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長も務める。

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