
星野朝子: ダイバーシティの基本は「異なる新しい考え方」です。同じような人たちの集団では考え方が一つの方向に向きますから、「右だ」と言って一斉に右に動いた方がいいときには、ダイバーシティはない方が力を発揮するのですが、革新だとかクリエイティビティだとかで勝負し始める状態においては、いろいろな人がいろいろな意見を言う状況を許容する組織とか企業風土でないといけないわけです。そもそも全然違うことを言う人、またはタブーを言う人を排除しようとするのは人間の性なのです。
一方、労働人口は日本では今後ずっと減っていきます。そうなると、右といえば右に動くような、そういう人たちだけで本当にこれからのビジネスが戦えるんですか。それから工場もそうです。本当に日本の男性だけで賄えるんですか。海外の人も使わなければいけないし、もちろん女性も使わないといけないですよね、と。ダイバーシティには、そういう社会的な背景もあるということです。……
日産のゴーンCEOと志賀COOは、今やいろいろなところでダイバーシティを牽引し、たぶん日本の中でもこの2人はその推進役としては相当有名になってきているようです。
以上がダイバーシティの説明です。
次は、日産自動車のダイバーシティです。5年間のパイロット在任中はさまざま提案をしましたが、今日はその中の3つに集中してお話をさせていただきたいと思っています。
最初、とにかくメンバーを集めて勉強するところから入ったのですが、まず提案したのがDDO(ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィス)の設立でした。目的は、「女性のキャリア開発支援」「ワークライフバランス」「ダイバーシティマインドの定着」の3つです。
CFT(クロス・ファンクショナル・チーム)がチャレンジしていくのはいいのですが、ファンクションに対しては、ダイバーシティに関する専門家が責 任をもってずっとウォッチしていかないといけません。また、女性のキャリア・ディベロップメントに関しては、やはりコーチングだとかメンター(指導者)だ とか、いろいろなことを考慮していかないといけません。単にレット・イット・ゴー(なすがまま)では少しずつはよくなりますが、ブレークスルーしてよくな るということはありません。そこで、専門集団が絶対に必要ですと提案して、承認されたのです。
結局つくってみると、日産が日本で初めてこういう組織を持った会社となり、後日、表彰される理由の一つになりました。
(その5に続く、全14回)
※この原稿は、2007年12月21日にアカデミーヒルズで開催したRoppongi BIZセミナー『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』を元に作成したものです。
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