
―第2部「日本は変われるのか」―
加藤寛: 今、伺っていて思ったことは、官と民が手をつないでグルになっているんですよね、そこがね、あるんだから、いくら民がコンプライアンスを高めてやってみても、結局そのコンプライアンスのルールは全部官僚から回ってくるわけですよ。そういうものに乗っかってやっている以上は駄目なので、官というのを、どうすれば民間と同じようにできるかということが重要ですよね。
1つは会計原則をきちんとつくろうと。もう1つは、官僚には失業保険がない、だから失業したからといってハローワークは使わないのですけれど、失業保険をちゃんとつくって、みんなそこへ行けばいいわけです。朝から並んで自分の職を探すために、どんなに民間が苦労しているかということを味わえばいいんですよ。そうすれば、官僚というのが変わっていくんですね。
それをやらないものだから、官僚というものが……
いつまでも特権を利用する。そして一部の者だけが大きな特権を利用している。こういう形になっているのです。官僚と民とのグルになっているところを打破しなければ、絶対に日本は変わらないというふうに、私は思っています。
竹中平蔵: では最後に木村さん、どうぞ。
木村剛: どうしても日本のニュースは国内の格差という話ばかり出てくるのですが、現実的には国内の格差を議論している間に国際的な格差が開いているという現実を直視するべきだと思うのです。
我々はどうしても「経済大国」というノスタルジーがあります。しかし、もうそれは現実ではありません。今はもう経済大国ではないのです。「欧米の一流企業には負けても、日本の一流企業はアジアではトップだ」という勘違いを、まだ多くの人はしていると思います。
一度、アジアの国々の企業の時価総額を日本の企業と比較してみてください。恐らく業界で勝てるのはトヨタだけです。あとの業界はほとんどがアジアの 企業に負けています。日本のゼネコンのトップはアジアで20位です。その現実をもっと直視して考えないと、国内の格差論をやっている間に、国際的な格差論 で、本当に日本は貧しい国になってしまうという可能性を我々は今考えるべきだと思うのです。
竹中平蔵: どうもありがとうございました。皆さんの話を聞いていると、私もアドレナリンがどんどん出てきて、言いたいことがいっぱいあるのですが、時間がありますので、最後に一言だけ。
今、木村さんが言われたことに尽きるんだと思います。年末にいろいろな記事が出ていたのはご存知だと思うのですけれど、日本の一人当たりGDPは世 界で18位になりました。93年は2位でした、それが今世界で18位、トップの国に比べますと6割方低い、半分以下です。世界で一番高いルクセンブルクと か、そういうところに比べると日本の一人当たり、私たちの所得というのは半分以下、4割ぐらいになっているという現実を、私たちは直視しなければいけな い。
今日、改めてこのセッションで明らかになったのは「現実を直視しよう、そして正論で議論しよう」ということが第一点、それと、やはり既得権益との戦 いである、これはバトルだということを認識して、既得権と戦う覚悟がないと、最後に加藤先生が言われたように、やはり結局、官に頼る民ということになる。 「官尊民卑」、これは私が言ったのではないですよ、これは土光敏夫さんの言葉ですが、「官尊だと言われるのは民が卑しいからだ」と、非常に厳しい言葉を残 している、まさに民が官に依存している、依存しようとする人たちがたくさんいる。そういう中で、私たちの社会を変えていかなければいけないということだと 思います。
最後のセッションで皆さんにもいろいろご意見を伺うことがあると思いますので、引き続きよろしくお願いします。
岸博幸: どうもありがとうございます。実は第2部の司会を竹中先生に お願いした理由は、第2部はすごくしゃべる人が多くて、まとめるのが大変だと思いまして、小泉総理を見習って竹中先生に丸投げしたんですけれど、やっぱり うまくいったなと思いました。やはり小泉総理の判断は正しかったなと思うのです。
※この記事は、2008年1月4日にアカデミーヒルズで開催したパネルディスカッション「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~ at アカデミーヒルズ」の全文掲載です。全29章中の第21章に当たります。
※当日使用した資料は、「チーム・ポリシーウォッチ」のサイトで公開されています。
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