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2008年5月15日 (木)

机上総合国語辞典/机上漢字大辞典

カフェブレイク・ブックトーク「辞書、辞典の季節」その4

●机上総合国語辞典

『広辞苑』
『広辞苑〔第6版机上版〕』 澁川雅俊: 次に机上総合国語辞典について見てみましょう。この1、2年この種の辞典の刊行が続いています。『広辞苑』、『大辞林』、『精選国語辞典』などなどです。

『広辞苑〔第6版机上版〕』(新村出、岩波書店刊)は07年12月の発行ですが、今年1月に入ってからの発売でした。24万語が収録されているこの辞書は、帯評によると「1100万人を超える読者に愛された信頼と実績」とあり、また新聞のコラムなどでしばしば「広辞苑によると…」などとの引用が見受けられますので、国語大辞典では最もよく使われているようです。私は辞典については印刷版派なので、使ったことはありませんが、『広辞苑』を搭載している電子辞書があり、またケータイでの有料サービスもあるようです。

この辞典は1935年に刊行された『辞苑』(博文館)を引き継ぎ、初版が55年です。以来5版(98年)まで、ほぼ8~10年ぐらいごとに改訂されています。それだけの歴史があると辞典編纂にかかわるさまざまな物語が生まれますが、そのことについての書物については項を改めることにします。

ところで、この辞典に関してこんな索引があるのをご存じでしょうか? それは……

澁川雅俊『逆引き広辞苑(第5版対応)』(99年岩波書店刊)というもので、同版の全見出し語(仮名)を逆さまさにして五十音順にしたリスト です。「しんぶんし(新聞紙)、下から読んでもしんぶんし」などという“逆さことば”の語法がありますが、辞典に収録された全語に対するそのようなユニー クなリストです。それを手にしたとき私は、「えぇーっ! いったい何に使えるんだろう」と疑問に思いました。岩波書店は「辞典本版と並べて使えば日本語の 見えにくいところにあるさまざまな様相が現れ、ことばの世界を広げる」などと宣伝していますが、本当にどう使ったらいいのでしょうか?(※4)

(※4)私が思いついた使い方はこのようなことでした。
日本人は繊細な感覚をもっているといわれています。その繊 細さはしばしばものごとを表現するときのことば遣いに現れます。例えば雪については、大雪(オオユキ)、小雪(コユキ)などがありますが、それぞれの逆さ 読みは「キュオオ」、「キユコ」は五十音順ではほぼ同じ箇所に排列されます。ということは細雪(逆読み:キユメササ)、粉雪(キユナコ)、牡丹雪(キユン タボ)、綿雪(キユタワ)などについても同じようになります。かくしてその箇所にさまざまな雪を見つけ出すことができることになります。しかし雪はユキと もセツとも読みますから、例えば残雪(逆読み:ツセンザ)のようにツセの音順にも目配りをする必要があります。雨や風や月などについても、同じような操作 でさまざまな同義語、類語を探し出すことができるのではないでしょうか?

『大辞林』
『大辞林』 扇情的ないい方をするならば、広辞苑のライバル国語大辞典に『大辞林〔第3版〕』(松 村明、06年三省堂刊)があります。この辞典の編纂は59年に始まったようですが、初版刊行は以外に遅く88年でした。11年ぶりに改訂された3版は、 25万語以上を収録しています。語解の内容的な比較は、大概の人びとにとっては大同小異です。私自身はなんとなく大辞林派です。それは文章を書くときの私 の語彙法とフィーリングがこの辞典と合っているからです。広辞苑との最大の違いは、2版(92年改訂)からデジタル対応を進めていることで、WEB版辞典 に搭載されていることです。

『新明解国語辞典』と『精選日本国語辞典』
その他に『広辞林』(三省堂)、『大辞泉』(小学館)、『日本語大辞典』(講談社)、『新明解国語辞典』(三省堂)などが大型国語辞典としてあげられますが、『新明解国語辞典(6版)』(06年)と『日本国語大辞典精選版(全3巻)』(06年小学館)がこの1~2年に刊行されています。後者は先に挙げた特大国語辞典の簡略版です。

●机上漢字大辞典

白川静の漢字辞典ほか
『字通』 『字統〔新訂版〕』4_7『字訓〔新訂版〕』諸橋轍次と同様、長年にわたる漢字の研究で文化勲章を受章した白川静が表した三部作の辞典、『字通』(96年平凡社刊)、 『字統〔新訂版〕』(04年平凡社刊)、『字訓〔新訂版〕』〔05年平凡社刊〕があります。最初のものは漢字の成り立 ちや意味の展開や造語力を体系的に示している1万字の漢字辞典。次は字源を扱った辞典、最後は日本語が漢字と初めて出会ったとき、日本語の語義や語意識にどのように対応したか、つまり和訓の成立を示した辞典です。またそれらを基盤にした簡易版の『常用字解』(03年平凡社刊)も出されています。

その他に最近刊行されたもので『漢字源〔改訂4版〕』(藤堂明保他編、07年学習研究社刊)、『新潮日本語漢字辞典』(05年新潮社刊)、『漢語林〔新訂版〕』(鎌田正・米山寅太郎著、04年大修館書店刊)があります。
『新潮日本語漢字辞典』『漢字源〔改訂4版〕』

(その5に続く、全11回)

※このレポートは、008年4月8日に六本木ライブラリーで開催したカフェブレイク・ブックトーク「辞書の季節」を元に作成したものです。

※書籍情報は、株式会社紀伊国屋書店の書籍データからの転載です。

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