
―第3部「政策不況」―
竹中平蔵: 1つを選ぶのは難しいんですけれど、私は公約違反について誰も責任を問わなくなったというのが、一番腹立たしいというか、危険な兆候だと思います。皆さんお忘れでしょうか。2006年度に「名目2%成長を達成する」というのは公約だったんです。しかし、2006年度達成されなくて、2007年度も達成されないのです。
こういうことの中で、当然のことながら「なぜ達成されなかったんだろう、どこが悪いんだろう、責任をとる人がいるのか」というのを議論するのが当たり前なのに、誰も議論をしない。これは政府の中でももちろん議論しませんけれど、国会でも議論されていないし、マスコミも議論をしていない。こういうことを積み重ねていくと、もう改革のタガがどんどんどんどん緩んでいきます。
公約、約束したことは守りましょう。何の政策を議論するときも、私はこれが基本だと思います。
加藤寛: 私が一番腹が立つのは、決定しそうな顔をしながら何もしなかったということですね。これは本当にね、何を考えているのかわからない。福田さんという人は……
カヌーが好きだから、川の流れを見ながらどこで舵を入れようかというので、じっと見ていたんじゃないかという気が私はしているのです。だけれど、そんなこと言っているうちに福田内閣が滝のところに行って、まっ逆さまに落ちるかもしれないですね。
一つひとつの政策が全部解決できるはずだったんですよ。例えば守屋事件だって、あれは攻め方の民主党が下手だったから、うまくいかないんですけれど ね。守屋事件だって防衛庁の事件だって、あれは十分に解決する戦略を立てておけばよかった。薬害の問題もそうですね。道路財源の問題もそうです。特殊法人 をいくつかやっつけようなんて言っていてできなかった、これもよくない。
つまり、やろうと思ったことをやれるんだっていう決断をもって、一つでもいいから示せば、これは納得できたんですけれど、何もしないということでもって過ごしたということが非常に私にはわからないし、腹が立って仕方がないんです。
松原聡: 全部腹が立つんですけれど、実害があったという意味でです ね、道路特定財源です。これは、安倍内閣のときに塩崎官房長官とかが最後ギリギリになって決めたところで、何がそこで議論になったかというと、「真に必要 な道路はつくろう」だったわけけれど、これは既得権の巧みなところで、全部必要だといったら全部つくれちゃうわけです。「本当に必要な部分はしっかりと国 民の意見を聞く、有識者の声を聞く、そこで真に必要な道路というのを確定して、そこで関連の特定財源との差が出たら、一般財源化等の議論をしましょう」 と、こういうことだったわけです。
私は道路局の担当課長から、2回3時間ぐらいこの問題についてヒヤリングを受けて意見を申し上げました。で、出た結論というのが、何と必要な道路と いうのが、道路特定財源10年分にぴったり一致したわけですから、「こんなんだったら僕の3時間返してくれ」みたいなですね、そういう意味で象徴的な出来 事ですけれど、実害が3時間分あったということで、一番腹が立ったところが、この問題です。
※この記事は、2008年1月4日にアカデミーヒルズで開催したパネルディスカッション「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~ at アカデミーヒルズ」の全文掲載です。全29章中の第23章に当たります。
※当日使用した資料は、「チーム・ポリシーウォッチ」のサイトで公開されています。
【購読無料】アカデミーヒルズで開催する講座の最新情報をメールでお知らせします。
| 固定リンク









