
―第2部「日本は変われるのか」―
竹中平蔵: 非常に刺激的な意見が続いておりますが、特別ゲストの方にご発言をお願いします。松原先生。
松原聡: 今日、全員で11人ですか。今、加藤先生のお話を伺っていて、この中でミイラになれる人が何人いて、100年後何を言うかなんですが(笑)。
竹中さんが5年半ぐらい改革をやってきて、相当の成果を上げたと思うのですよ。でも、今ミイラで復活したような気分になっているのではないか、今までやってきたのは一体何だったんだ、変わってないじゃないかと、こんな復活の気持ちになっているのではないかと、私は思いました。
私は経済政策をやっておりますので、政策についてお話をします。こういうふうに時代が混乱している時期は、政策には3つの非常に大きな視点が必要なのではないかと思っています。……
1つは明確な目標です、何をするんだ、何を直すんだと。そのことは現実に対する問題意識の裏返しになると思うわけです。小泉さんが政権についたとき は、これは非常に明確でありまして、「10兆円15兆円の経済対策、何回やったって効果がない、借金だらけになってしまった、経済はめちゃくちゃだ」と。 有効求人倍率は0.5でしたから、大学教員の私は学生を就職させるのにどれだけ苦労したか。それは、たった5、6年前の話です。
財政的な制約がある中で、経済をもう一度復活させなければいけない。だから、小泉さんは「改革なくして成長なし」と、最初に「金は使わないよ」と、 こう明確な目標を出したわけです。今、もう一度そういう中期的なことを含めた明確な目標が必要だと、こういうふうに思っているわけです。
その意味で、第1部の議論は「増税しないでいこう」と、そういう意味での明確な目標が示された、これがまさに政策だと思います。
もう1つは、やはり小泉改革も5、6年かかったわけでありまして、これだけ大きな変化の時代で、大きな目標を立てる以上は、1年2年で改革の成果が 出るわけがありません。やはり政策目標というものは中長期的であるべきで、5年とか10年のタイムスパンは絶対必要です。その意味で、経済財政諮問会議が 最初に「2011年にプライマリーバランスを回復しよう、黒にしよう」という目標を立てたのは、これは非常に正しいことだったと思います。
それからもう1つは、政策は総合的でなければならない、年金問題と消費税というのはリンクするかもしれないが、すぐその流れの中で「年金があるか ら、あるいは少子高齢化の問題があるから、消費税は目的税」という話になってきてしまうわけでありますが、やはり政策というのは、総合的でなければいけな い。
こういう意味で、私は政策というのは、明確な目標が必要だし、5年10年のタイムスパンが必要だし、それからもう1つは総合的でなければいけないと、こう考えているわけです。
※この記事は、2008年1月4日にアカデミーヒルズで開催したパネルディスカッション「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~ at アカデミーヒルズ」の全文掲載です。全29章中の第15章に当たります。
※当日使用した資料は、「チーム・ポリシーウォッチ」のサイトで公開されています。
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