
―第2部「日本は変われるのか」―
竹中平蔵: 今の枠組みの中でということになると思いますけれど、日本の現状評価と問題点の指摘という観点から、手短に問題の提起をしていただければありがたいと思います。野村先生からお願いします。
野村修也: 今、フェルドマンさんの方からお話がありましたけれど、やはり反応というのが、今一番大事な状況にあるんだというふうに思うのですが、ただ、政治の話のほかに、やはり官僚の方々が非常にメインのプレイヤーになっているというのが現状だと思います。
彼らの反応の仕方なんですけれども、やはりそこにバイアスがかかっているというのが問題ではないかと考えています。と言いますのは、小さな政府か大きな政府かということを選択するということになるわけですが、官僚の方々にとってみますと、自分たちの存在意義を維持するためには大きな政府がいいということに当然なるわけです。
そこで今出てきている政策は何かといいますと……
私は法律家なので、いろいろな法律を見るわけなんですけれども、一言でいえば「コンプライアンス不況」みたいなものが起こっているわけなのです。
なぜそういうことが起こるか、これは皆さんご存知の建築基準法が今回の成長を妨げたという大きな問題があります。これは「法律のつくり方が悪かっ た」というふうに言われるわけなんですが、簡単にいえば二重にチェックをするという仕掛けなんです。姉歯問題が起こりましたので、構造計算をやる人がい て、それをまたピアチェックをする人がいるということなんですが、当初から、その制度をつくるときに、「やる人、いないでしょう?」ということが議論され ていたんです。にもかかわらず、それを法律にしてしまうことがどうして起こるのかということを、やはり分析する必要があるのです。
その理由を私が考えるに、やはり官僚の人たちが、社会が問題としていることに何らかの施策を講じるということは、誰も否定しない。例えば消費者問題 であるとか、あるいは食品の問題とか、そういうことでみんなが問題だと思っていることに対して、何か法律をつくるということになると、否定する人はなかな かいないわけなんです。ですから、どんどんつくっていく。
新しい意味で自分たちの天下り先をつくったり、あるいは新しい意味での自分たちの存在意義を確保することによって大きな政府を維持しようという、そ ういうバイアスが実は大きくかかっているというところがあって、それが成長を妨げているんだろうというふうに、私は思っているわけです。
そういう意味では、私も含めて法律家は非常にまずいんですね。あまり調子がよくない。やはり経済のことをよくわからないまま法律をつくることに、積 極的になるということで、加担してしまっているというところがあります。そのあたりのところを、少しウォッチしていきたいなというふうに私自身は考えてお ります。
竹中平蔵: 野村先生は、社会保険庁の第三者委員会、検証委員会の委員をやっておられるのと、郵政民営化委員会の委員もやっておられるわけで、そういう観点からのご指摘であります。
※この記事は、2008年1月4日にアカデミーヒルズで開催したパネルディスカッション「政治経済の混迷を斬る ~“竹中チーム”再結集~ at アカデミーヒルズ」の全文掲載です。全29章中の第12章に当たります。
※当日使用した資料は、「チーム・ポリシーウォッチ」のサイトで公開されています。
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