アンドリュー・ゴードン: なぜレッドソックスは経済的に成り立つのでしょうか。実は平等分配以外に球団の懐に直接入ってくる収入というのがあります。それは、地元での活動から入ってくるものです。例えば、
- ローカルテレビの放映権収入
- チケットの売上
- 球状内関連収入(ラグジュアリーBOXシートなど)
- フェンウエイパークの看板契約金
などがあります。
レッドソックスは松坂獲得に乗り出す前に、ある程度はこれらの損得勘定を考えたかもしれませんが、丁寧な分析はしていませんでした。契約はすべて、松坂の入団が決まってから、サム・ケネディ(レッドソックスのマーケティング担当副社長)と部下があちこちまわって取ってきたものです。
一番大きかった契約は、船井電機との契約でした。試合後の記者会見で松坂の背後に映るパネルの権利を船井電機は年間90万ドルで買いました。球団は、松坂効果で得られる年間の収入を約300万ドル、つまり約3億円程度と見込んでいました。契約料は毎年少しずつ値上がりするでしょうから、6年間で20億円前後の収入になるというわけです。球団は松坂と6年契約するために約100億円使っているので、2割ほど戻ってくることになります。
では残りの8割は損なのでしょうか――。
サム・ケネディは、最初のシーズンはもう少し儲かるだろうと考えていたと言います。つまり収入については少し期待はずれだったということです。日本 企業は「よそみ」の立場をとるところが多く、出足が遅かったそうです。この原因の1つは、投手は5日に1回しか試合に出ないからかもしれません。松井のよ うに毎日出るプレーヤーほどの効果はない、ということもありえます。いずれにせよ、球団としては収入面でも来シーズンはがんばりたいところです。
しかし、松坂と岡島がチームを好成績に導くほどの優秀な選手だったので、直接収入ではなく間接的に、投資の元は十分取れたとケネディは言います。 レッドソックスが地元で得る収入は、チームの強さにすべてがかかっています。松坂は15勝し、岡島はオールスターに選ばれました。この2人が入ったからこ そ、チームが強くなった、チームに貢献したというわけです。
サム・ケネディいわく――2人のおかげで毎試合満員御礼が続き、ローカルスポンサーは強いチームだからこそお金を払う、それにケーブルテレビの広告 収入も視聴率が高くなるほど多くなる。日本企業だけでなく、バンク・オブ・アメリカやコカ・コーラなどのアメリカ企業も、成功しているチームに広告を出 す。2人は間接的に貢献している。十分、元は取れる。
松坂と岡島の入団は、グローバルな経済効果というよりは、チームを強くしたという地元での経済効果がポイントだったのです。
(その4に続く、全8回)
※この記事は、2008年2月14日にアカデミーヒルズで開催したBIZセミナー「ハーバード大教授が見た松坂メジャー革命:日米文化とビジネス戦略」を元に作成したものです。
■関連リンク
※アンドリュー・ゴードンさんのプロフィールはこちら >>
※【購読無料】アカデミーヒルズで開催する講座の最新情報をメールでお知らせします。
| 固定リンク










