講演テーマ011:楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」

2008年7月 1日 (火)

地道な地域密着活動

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その7

島田亨 島田亨: 我々の場合には、できるだけ垂直立ち上げして地域に密着しようと思い、頑張って地元回りをしました。野球は実際には民間企業の収益ビジネスなんですが、よく公共性のビジネスだといわれます。青少年の育成を考えると公共性の高いビジネスですし、地方自治体からもサポートしてもらっているというのも事実ですから、その分はちゃんと返さなきゃいけない。

けれど、直接お金を出していくということじゃなくて、もっと地元の人たちと我々がwin―winになるような、そういう地域還元の仕方がないかなということ考えました。それで2年目から始めたのが「シートオーナーズクラブ・チャリティ」でした。球団としては、客単価が高い年間シートを売ることで経営が安定するんです。ところがシーズンが終わってみるとシートが余ったりする。そうすると「ああ、もったいなかった」と1枚当たりの単価を計算して、「一般チケットのほうが安い」となるわけです。

そこでシーズン途中でチャリティゲームというのを球団で毎月設定します。その月までに使い切れなかったチケットがあったら球団に送ってもらい、それをいったんまとめて席を用意したうえで、地元の、例えば……

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2008年6月24日 (火)

ファシリティーを磨く

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その6

島田亨 島田亨: 日本一の球場にしようと頑張ってきましたが、当然球場の投資コストをどう回収するかは考えました。多くの球場と逆で、うちはホームが三塁側でビジターが一塁側です。今までの球場は大体シンメトリーなんですが、対称ってやはり不自然で、地元が地元の側に座りたいという欲求は高いわけですから当然そっちから先に埋まります。それで球場改修するときに、座席は三塁側だけつくって一塁側の同じ場所にはレストランをつくって、球場の年間シートを買ってくれる人だけしか入れないようにしました。

5億円ぐらい掛けた建物を含めたレストランが直接的には利益を生まないかもしれませんが、これがあることによって年間シートが売れれば、その方が収益性が高いじゃないかと。このように、ROI(※編注:Return on Investment=投資収益率)を考えて最短で回収ができ、なおかつお客さまにとって楽しいファシリティーをつくるということが非常に重要です。

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2008年6月17日 (火)

場の創造(継続的なリテンション)

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その5

島田亨 島田亨: エンターテインメントのビジネスというのは、世界観だと思います。プロ野球の時間が平均で3時間半より短くなるということはないとすれば、丸1日楽しんでもらうようにしちゃおうよ、という逆転の発想ができます。また、プロ野球はスポーツ興行という考え方だと、ファンは一部の男性ファンに限られるかもしれませんが、興行じゃなくてエンターテインメントだという概念に変えていこうと。プロ野球を見に行くんですが、大きな場としてボールパーク自体を楽しみに行くと。そうするとターゲットはファミリーになります。

企業が提供している場で、世界観というものを伝えることの重要さに、多分世界中でいち早く気がついたのがウォルト・ディズニーだと思います。アニメーション・キャラクターも必要だったけれども、フロリダやカリフォルアというところに場をつくっていくことによって、夢やファンタジーの世界を体感させるわけです。世界観を五感で感じられるよう、ディティールにこだわってお金を掛けているのがあの遊園地でしょう。

まことしやかな都市伝説があるのですが――

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2008年6月11日 (水)

スポンサーに評価される球団

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その4

米倉誠一郎_島田亨 島田亨: ファンに愛されるようなシナリオづくりと同時に、もう1つの大きなお客さまである企業スポンサーに、いかに評価されるかということも大事です。ポイントは、話題性とスポンサーの具体的なメリット、この2つです。常にできるわけじゃないですけれど、ドラフトで有名な新人選手を取れるかどうかというのは最大のトピックです。自慢しちゃいますけど、今年も長谷部(康平)を引きました。くじ運は強いです。

昨年、フィールドで親子のお泊まり会をしたのですが、幸いこの企画がスポーツ番組で8分間取り上げられまして、広告換算すると何億円分になるだろうかというぐらいのトピックなんです。そうすると看板を出しているお客さまに喜んでいただけます。

スポンサーのメリットのためには、イベントのほか、システムとして仕掛けている部分があります。例えばネーミング・ライツ・スポンサー。ビール会社というのは国内に大手は4社ですね。それを3社の枠に区切るということが大事なんです。我々のチームが地元から愛されているということが前提なんですが……

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2008年6月 2日 (月)

評価制度で成績を上げる

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その3

島田亨 島田亨: 例えば、盗塁がうまそうな選手がいて、データを見たら盗塁成功率が7割。盗塁を企画した数は去年10個のうち7個成功していることですね。その選手を呼んできて、「今年はシーズン通して5割を超えていればいい。5割超えたら成功した盗塁も、失敗した盗塁も全部成功でカウントして、インセンティブをやるよ」と。そういう評価をしてあげたとしたら「半分でいいんだったらお得だな」と思う。

それで企画する数を30ぐらいにすると、やっぱりプロですから、成功率というのは7割がせいぜい6割5分ぐらいに落ちるだけ。そうすると30掛ける6割5分ということは、去年7つしか盗塁しなかった選手が20成功する。ヒットに換算すると13本ぐらい多く打ったということと一緒で、しかも相手のピッチャーにしてみるとヒットを打たれるよりも精神的にダメージを受けるんです。

このように評価制度みたいなもので盗塁やフォアボールを増やすということをやっていく。選手には基本年俸というのがあって、その上に出来高というのがあります。普通の会社でいえば固定給プラス歩合ですよね。ところが野球界における歩合というのは、歩合の意味を成してないんです。

例えば、2億円はギャランティーするけれど1億円は出来高という場合……

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2008年5月20日 (火)

ファンに愛される球団へ

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その2

島田亨 島田亨: まず、地元から愛されるチームをつくっていくことに経営のテーマを絞りました。テレビ局が放映権を買ってくれますが、会社に収益をもたらしてくれている人は誰かということを考えていくと、地元の方々にチケットを買っていただくということがすごく大きいんです。

特定の選手の人気のみに頼った球団経営のビジネスモデルではなく、シーズンの勝利数と観客動員数をリニアに少しずつ伸ばしていきたいと考えています。はっきり言うと優勝するまで10年かけたいと思っています。ステージマネジメントというか、期待値コントロールです。球団づくりを、地元の人たちと一緒に時間をかけて情報共有しながらやっていけばやっていくほど強固なファンができていくわけです。特定多数をお客さまとしているビジネスだから、シナリオというのは長期的につくっていかなければいけない。

わたしがビジネスモデルとしているのは……

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2008年5月14日 (水)

野球ビジネスに出会うまで

楽天イーグルス島田亨社長が語る「経営の本質」その1

69 米倉誠一郎: 今、日本も音を立てて変わっているなという気がします。サブプライムの影響は日本だけじゃないですから、日本企業、銀行などが頑張って日本の省エネルギー技術とか、新しいディメンションを開いていく大チャンス。特に若いみなさんには活路を見出してほしい。

球団経営にも新しい人たちが出てきました。1年目で黒字なんか達成できるわけがないと言われた弱小球団を黒字にした島田さん。彼が手掛けてきたことには、ちゃんと論証があって、しかも結果が出てきている。こういう会社が今の時代をつくっているんじゃないだろうか。伝説の営業マンで、日本のビジネスの開拓者の一人が、新しいスポーツ・ビジネスにチャレンジしているというのは非常にエキサイティングで、我々が同時代の目撃者になれるというのはすばらしいことだと思っています。

島田亨: 今年(2008年)1月1日に球団のオーナーに就任して、今日初めてオーナー会議に出てきました。今日は、野球ビジネスについて、これまでどういうことをやってきたのかをお話しさせていただきたいと思っています。

わたしは昭和40年の3月生まれ。大学を卒業して、最初に『リクルート』に入りました。後に『ぴあ』の社長になった坂本健さん(※編注:2008年4月現在、取締役 専務執行役員)がリクルートの広報室にいて、杉並区の中学校でおもしろい企画を打ち出している藤原和博さんは、当時同じ事業部の部長さんでした。2年たったところで、今『USEN』社長の宇野さんらと『インテリジェンス』という会社を設立し、会社が上場した1年後に退任しました。それから、宇野さんの依頼でカラオケメーカーの経営をやりました。40年ぐらい前にできたメーカーなんですが、そこで「古い組織というのはちゃんと根回しをして戦わなきゃいけないんだな」ということを1年半で経験させていただいたことが、球団の経営に大変役立っています。

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島田亨 プロフィール

島田亨 島田亨(しまだ・とおる)
株式会社楽天球団代表取締役社長

昭和62年3月 東海大学 文学部広報科卒
昭和62年4月 株式会社リクルート入社
平成元年9月 株式会社インテリジェンス創業(平成元年6月設立)取締役就任
平成7年10月 株式会社インテリジェンス取締役副社長就任
平成12年4月 日本証券業協会に店頭登録(現ジャスダック4757)
平成12年9月 株式会社シーズホールディングス代表取締役就任(現任)
平成13年1月 株式会社日光堂(現:株式会社BMB ジャスダック9841)取締役副社長就任
平成13年~16年 その他、投資会社を経営し、多くの企業に社外役員として経営に携わる。
平成16年11月 株式会社楽天野球団 取締役副社長就任
同年 12月 株式会社楽天野球団 代表取締役社長就任(現任)
平成17年 3月 楽天株式会社 取締役執行役員就任 プロスポーツ事業カンパニー社長就任
平成18年 3月 楽天株式会社 取締役常務執行役員就任(現任)
平成18年11月 楽天株式会社 CMO(チーフマーケティングオフィサー)就任(現任)プロスポーツ事業長就任(現任)
平成20年1月株式会社楽天野球団 オーナー就任(平成20年1月1日就任)

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