澁川雅俊: 私たちは一般に絵巻物を美術品と見ていますが、こと物語絵については物語をもっと楽しみたいという欲求に応じて制作されたと考えるべきでしょう。例えば『文読む姿の西東―描かれた読書と書物史』(田村俊作編、07年慶應義塾大学出版会刊)でも取り上げられているように、お付きに物語を読ませ、その絵巻や画帖を楽しんでいる姫たちの読書の姿が奈良絵本・絵巻の挿絵にしばしば現れてきます。事実源氏にも姫たちが絵巻を見ながら『竹取物語』などの昔物語を楽しんでいる様子が所々に書かれています。
源氏の物語絵は源氏絵と呼ばれていますが、その制作を促進したもう一つの要因は物語が彩色に優れていることでしょう。風景、造園、建物、室内装飾、衣装・小物などの彩りが豊かで、絵師たちの創作意欲を掻き立てたに違いありません。
現存する最も古い源氏絵は……
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最近出版されている関連の本の中には、そういう側面から源氏を分析したり、考察したりしているものも少なくありません。例えば自然、風景、風習などを四季でみた『季語で読む源氏物語』(西村和子著、07年飯塚書店刊)があり、室内装飾や道具類あるいは衣装と小物類について源氏本文にしばしば出てくる「唐物」という外来品に関して平安日本の海外交流を調べた『源氏物語と東アジア世界』(河添房江著、07年日本放送出版協会刊)や『光源氏が愛した王朝ブランド品』(河添房江著、08角川学芸出版刊)などがあります。……
澁川雅俊:


澁川雅俊:
ですから、日本人なら中学生以上の人たちはみなこの物語のことを知っているはずです。しかしそれほどよく知られていても、それを読んだという人たちはそれほど多くないのではないでしょうか。もっとも中にはまんが『あさきゆめみし』(大和和紀、講談社刊)を見ている方々もたくさんいるかもしれません。……

澁川雅俊:
物語は、銀のスプーンをくわえて生まれてきた千年前のセレブリティな男光源氏と、その息子と孫息子にわたる恋と愛欲、そしてそれに応ずる貴女たちの想いと振る舞いを主筋とした大河ドラマです。読んでみて日本人の恋愛の考えや行為が……










